恥ずかしながら、キム・ヘナつながりのつもりで観始めたのですが彼女は最後まで出て来なかったというお粗末、しかしながら…いくつかの切り口から青春の残酷と滑稽を描き出して秀作オムニバス…「レディアクション ~4つの青春~」

 

【ep.1 噂】チョンソル高校では噂が広まっている。美人で有名なヘリが妊娠したと言うのだ。おりしも校内放送ではエリート高校生チョンウが生徒会長選挙の演説を自身満々に披露しているが、彼がヘリの相手なのだ。更に悪いことに、ヘリのしどけない動画を見たという者まで現れる。生徒会長就任が発表され祝福されるチョンウだが彼の携帯に”病院で処置する”とヘリからのメールが届く。一安心するチョンウだが”ハムレット”と名乗る奴からのメールが届く。”ヘリの動画を探し出せ。さもないとヘリの日記を公開する”と。窮地に陥るチョンウは…【ep.2 訓練所へ向かう道】深夜の下町。明日入隊を控えるチョングが必死に逃げ、ごろつきアーチが追いかける。飛び出してきたチョングに急ブレーキで停まる軽自動車がある。乗っているのはやはり明日入隊を控えるマンジェと可愛い彼女スンアだ。色々事情があるのだが、チョングとマンジェは明日、無事”訓練所(入営審査隊)”に辿り着くのだろうか…【ep.3 世間に信じられる者はなし】夕刻、高速道路を走る車がある。車には猟銃と大金の入った鞄がある。乗っているの”教授””社長””議員”と呼び合うネットで集まった若い三人組で銀行強盗で金を奪ってきたのだ。三人は途中で車を乗り換え、山奥の廃村に向かう。そこで金を分け、証拠品を埋めるという計画なのだが…【ep.4 PLAY★GIRL プ・レ・イ・ガール】深夜の路地。二組の女子高生グループが乱闘を始める。一方はハニャン(漢陽)女子商業高等学校で”PLAYGIRL”を名乗り、気に入らない”クソ女”どもに制裁を加える集団だ。勝ち誇った”PLAYGIRL”は戦果の動画をUPする。そして修学旅行先でリストに従い大量の制裁を加える”審判の夜”が近づく。そんな”PLAYGIRL”を率いるNo.1コウンに近づく謎の黒マスクの女がいるのだが…

 

【ep.1 噂】裕福イケメン下衆な生徒会長チョンウに、ボーイズグループ<Super Junior>のメンバーだという二枚目イ・ドンウ【ep.2 訓練所へ向かう道】チョングに、初めて見るク・ウォン、マンジェに、この後「ユ・ヨルの音楽アルバム」でキム・ゴウンの相手役を務めるなど大出世する爽やか系二枚目チョン・ヘイン、その彼女スンアに、大売れガールズグループ<4minute>リーダーで後に「デッドキャンピング・ザ・ライブ」で主演を張るなど注目の美形ナム・ジヒョン【ep.3 世間に信じられる者はなし】3人とも知りませんが、冷静明晰の”教授”にソン・スンヒョン、軽薄強欲の”社長”にチェ・ヨンソン、懐疑臆病の”議員”にイム・ドンヒョク、特別出演では、銀行支店長に、お馴染みオム・ヒョソプ【ep.4 PLAY★GIRL プ・レ・イ・ガール】組織No.1コウンに、後に「乱暴な記録」ではヒロインのソ・ウナ、謎のマスク女に、後に「パラサイト」で世界に知られることになるパク・ソダム。

 

いつか見ようと思っていて何故かそのままになっていた作品ですが、ずっとファンのキム・ヘナが出てきたので、ちょうど良い、と思い観始めましたが、どこで勘違いしたのか彼女は出演していませんでした。残念。とはいいながら、大好物のオムニバスとしては優れた出来栄えだと思います。【ep.1 噂】親が有力者のイケメン生徒会長が後輩の妊娠と脅迫メールから壊れていく様をホラー並みの怖さで描いていて、美青年いたぶりスリラーというのもアリかも、と思わせます。【ep.2 訓練所へ向かう道】翌日に入隊を控えた二人の若者の騒動をロードムービー風に描いて好感で、後に売れる二枚目チョン・ヘインが颯爽としてますし、気の強いナム・ジヒョンも魅力的でしょう。【ep.3 世間に信じられる者はなし】脚本は秀逸で、疑惑と裏切りから壊れていく若者三人組の三つ巴の心理・暴力描写は良く練られていると思います。意外で皮肉なエピローグも巧いでしょう。【ep.4 PLAY★GIRL プ・レ・イ・ガール】女子高生の暴力組織という珍しい題材を、微かに妖しい同性愛の香りを散りばめて描く手腕はなかなかのものだと思います。それにしてもパク・ソダムの独特の存在感はこの頃から既に光っています。

 

噂、兵役、仲間割れ、女子高生暴力、といった青春の切り口は巧いと思いますし、俳優も光っていたりはしますが、強いていえば、四つの物語をつないだり、貫いたりする”軸”みたいなものに欠けている所が惜しいでしょう。4本の個別作品としては評価しますが、オムニバスとして一本にまとめる心意気みたいなものが感じられたら五つ星もあったかもしれません。とはいえ、10年前の作品ではありながら古びた感じはなく、好感度は高めといった感じでしょう。