キム・ソヘが抜群にキュートだったので思い出したんですが…恋人を死なせたとの後悔に苛まれる女性と才能がありながら舞台恐怖症から人前で歌えない二枚目練習生が出会って…ってな典型的なボーイ・ミーツ・ガールですが微妙…「彼女のバケットリスト」

 

夜の横断歩道脇、ラリはずぶ濡れになって立っている。そしておもむろに一歩を踏み出すが近づくトラックは急停車し事故は免れる。恋人ゴニョンがラリへのプレゼントを買うためのバイト中に交通事故で死んだのだ。ラリがゴミ屋敷と化した部屋に引き籠っているとしきりにドアを叩く者がいる。親友ミギョンが心配してやってきたのだが、ラリは冷たく追い返す…Bridgeエンターテインメントでは、代表の前で練習生たちが必死で歌い舞っている。デビューを競い合っているのだ(余談ですが、この時の女性たちの曲は<(G)I-DLE>衝撃のデビュー曲”LATATA”だったりします)。やがてハンソルの番が来てマイクの前に立つが一言も歌うことなく失神して倒れてしまう。彼は抜群の歌唱力を持ちながら或る時から舞台恐怖症になり人前で歌えないのだ…再びミギョンがラリを訪れ、部屋を片付け食べ物を差し入れてくれる。そんな部屋でラリは恋人ゴニョンと書いたバケットリストを見つける。二人でやりたいことを書きだしたもので、一番目はミュージカルを観ることだ…歌えないハンソルは深夜公園で一人歌っている。一人だと歌えるのだ。そこへ眠れないラリが通りかかる。恋人ゴニョンがネット配信で見て気に入ったと言っていた曲だったので、ハンソルを見ながら号泣してしまう。一方のハンソルもラリの泣き顔を見ながら一曲を歌いきることが出来る。こうしてバケットリストを抱えるラリと人前で歌えないハンソルが出会ったのだ…

 

【ともかくK-POP業界総出の様相ですが(事務所CUBEが後ろ盾との話も…)】自分のために恋人が死んだと自責に苛まれるチャ・ラリ(かえって、むしろの意味の副詞と同音同綴)に、元<I.O.I>で「ユンヒ」でのキュートさが実に印象的キム・ソヘ、歌唱力抜群なのに舞台恐怖症の練習生カン・ハンソルに、実際JYPの練習生だったこともあり(今は<(G)I-DLE>と同じCUBE)美声も聞かせてくれるナ・イヌ、ラリの先輩で親友チョン・ミギョンに、余り売れなかったようですがガールズグルプ<aini(아이니)>出身らしい美形キム・ウリン、ハンソルの同僚で親友ハジュンに、聞いたことはありませんが活動中だというボーイズグループ<Victon>のイム・セジュン、ハンソルに思いを寄せる練習生ヘインに、冒頭あまたの練習生に混じっていてもその美貌に目が眩みそうな<(G)I-DLE>の女神チョ・ミヨン(どうでも良い余談ですが、個人的にはデビュー時からウギのファンです)、特別出演では、タレント事務所の代表に、元ミスコリアでアナウンサーのこれまた美形イ・ジアン。

 

ちょっと観ればすぐ原作が漫画だと思うわけですが、その通り原作はネイバー・ウェブトゥーンで公開された同名漫画で、それを基に作られた1話当たり15~20分全10話のTVドラマを劇場版に再編集(つまり半分くらいはカットしたということでしょう)したもののようです。まぁ一言でいってしまえば”バランス”が悪い”に尽きると思います。「死ぬまでにしたい10のこと」「最高の人生の見つけ方」で広く知られた”バケットリスト”の扱いに粗略な感じは免れませんし、(それなりに因縁があるとしても)人前で歌えない歌手という背反存在に思い入れしにくいのも無理ないでしょう。それでも最後までウキウキ観れたのは、登場俳優たちのチャラチャラ・キラキラした存在感のおかげだと思います。ほぼ全員が厳しいK-POP業界をサバイバルしてきた経験者なわけで、キム・ソヘやナ・イヌの歌、イム・セジュンのダンス、チョ・ミヨンの女神的存在感、演技に関係なくそれらだけで、得した、という感じにさせるので、K-POP界の実力おそるべし、といった所かもしれません。例えば<(G)I-DLE>ミヨンに言い寄られた主人公がすげなくする辺りは、もはや不条理SF世界かと思うほどの違和感を感じられたり出来ます。

 

とまぁ思うわけですが、そんな風に観るのはかなり特異な体質でしょうから、一般的には、映画として観るのにかなり困難が伴うのはやむを得ないでしょう。気をつけられて下さい。但し、ヒロインを演じるキム・ソヘは別格の存在感があって今後伸びると思われるので、注目する必要はあると思います。

 

楽曲について。冒頭ハンソルが公園で一人歌うのは、ナ・イヌ自身が歌う「愛したいです(사랑하고 싶어요)」、切ないシーンで流れるのは、ヒロイン演じるキム・ソヘ自身が歌う「もう一歩近づくほど(한걸음 더 다가설수록)」、クライマックスで使われるのは、オリジナルらしいイ・チャンソブ「君が恋しい夜(너를 그리워하는 밤)」。