ちょっと真面目な作品が続きましたし、久しぶりのチェ・ヒと<Afterschool>ジュヨンも出ているので…落ち目の映画監督が美貌の吸血鬼に救われるが、彼女はトップスターの美人吸血鬼に狙われていて、みたいなファンタジー・ロマコメ、ですが…「不滅の女神」

 

人に紛れて人間社会で生きてきた吸血鬼たち。彼らの間でウイルスによって感染する”Vampire Immune Deficiency Syndrome(VIDS:吸血鬼免疫不全症候群)”が流行し、多くの吸血鬼が死亡する…深夜の”dal.komm COFFEE”に今は干されている映画監督ミンジュンが入ってくる。ミンジュンはあちこちに電話して金を無心している。その様子を見ているのは、深夜バイトのユリだ。やがて外から店のウィンドウを叩く男がいる。ミンジュンに金を貸した闇金社長だ。ミンジュンはユリに裏口を聞き逃げ出すが、すぐに闇金連中に取り押さえられリンチされる。その時ビルの屋上からユリが飛び降りて来て、連中を次々と打ちのめしていく。ユリは人間に紛れて生きる吸血鬼なのだ。その様子を車から見ている男がいる。男は電話をかけ”ついにVIDS抗体を持つ女吸血鬼を見つけた”と報告する。相手は、トップ女優の吸血鬼スジョンだ。長らく”VIDS抗体”を捜していたのだ。こうして無一文監督と二人の女吸血鬼の因縁が再び始動したのだ…

 

落ち目の映画監督ミンジュンに、キム・ギドク監督「うつせみ(原題:空き家)」などの二枚目チェ・ヒ、ひっそり暮らす美貌の吸血鬼ユリに、「ワンライン」でしか見たことがありませんが美形ワン・ジウォン、売れっ子妖艶女優でユリを狙う吸血鬼スジョンに、「オー・マイ・ゴースト」でも魅力発揮<アフター・スクール>結成時からのメンバー美形イ・ジュヨン、ユリのルームメイトで吸血鬼チョインに、「家門の危機」「家門の復活」泌尿器科医が印象的なコメディエンヌ、パク・ヒジン。

 

基本的には、地上波2時間ドラマ(あくまで平均的な)、くらいの出来栄えでしょう。確かに、”VIDS”という発想はユニークですし、160年前の因縁が描かれていたりはしますが、”吸血鬼”というキーワードを途中で忘れてしまいそうになる程に物語として抑揚に乏しいとの感じは否めないでしょう。ただ、ワン・ジウォンの役柄は売れない化粧品を宣伝するネット広告モデル、彼女を狙うイ・ジュヨンはトップ女優、さらに、チェ・ヒは今は干された映画監督なわけで、タイ遠征(後述)までやっちゃう撮影シーンばっかりということになり、美男・美女による、様々な衣装、メーク、アングル満載の絵作りはかなりキャッチーといえるかもしれません。幕間のスベり気味のギャグシーンを我慢さえすれば、そんなに後味は悪くありません。とはいえ、クレジット直前のエピローグで、再び空回りギャグやそこまでのストーリーをひっくり返すような新たな因縁話を見せる辺りは、もう少し深慮が必要だった、と思われます。

 

地上波2時間ドラマ以上のものではありませんが、久しぶりにイケメンと二人の美女がずっと画面を占領していてそんなに悪印象が残らないのは、観る側の哀しい人間の性(サガ)によるものかもしれません。やはり、韓国映画の範疇に入れるのには若干抵抗感が残る、といったレベルでしょう。

 

ちなみに、劇中タイに撮影旅行に行く場面がありますが、ビーチの遠景に映る街並みからバンコクから3時間ほどのホアヒンのビーチではないかと想像してます。ただ、クレジットにも明確な記載が見当たらず、この手の作品にしてはかなり贅沢な撮影のように思われるので、生成AIの可能性も否定出来なかったりします(なわけないか)。