昨年のヒット作に戻って…2017年年間4位688万人の大ヒット「犯罪都市」の続編で、何と”歴代”9位1,269万人の超ヒット、マ・ドンソクの太もものような腕から繰り出されるパンチを嫌になるほど堪能できるポリス・アクション大作…「犯罪都市 THE ROUNDUP」

 

2008年ベトナム、ホーチミン郊外の広大な更地で、韓国財閥の御曹司でベトナムでのリゾート開発を狙うチェ・ヨンギが取引相手を待っている。しかし現れたのは、ベトナムで韓国人を誘拐、殺害して稼ぐ凶悪なカン・ヘサンとその雇われ犯罪者たちだ。彼らはヨンギを拷問して金庫の番号を聞き出すが、隙を見て逃げ出したヨンギを、カン・ヘサンは躊躇いもなく鉈で斬り殺す。ヘサンはその金だけでは満足できず、ヨンギの死体の腕を撮影し、彼の父親に送り身代金を要求する…ソウル、クムチョン(衿川)区。小さなスーパーで立てこもり事件が発生するが、ソゲティン(見合い)で遅れて現れた刑事マ・ソクトは例によって腕力で犯人を殴り倒す。翌日の新聞写真では、どう見てもマ刑事が犯人にしか見えない。そんな彼にベトナム行きの話が出る。領事館にお尋ね者ユ・ジョンフンが自首して来たので受け取りに行くと言う。こうして英語が話せないマ刑事と、英語が話せると自慢するチョン班長は、半分観光気分でベトナム行きの飛行機に乗るが、これが新たな大事件に発展することを、彼らはまだ知らない…

 

【前作からの続投組】クムチョン(衿川)警察署強力1班マ・ソクト副班長に、勿論マ・ドンソク、同チョン・イルマン班長に、チェ・グィファ、同オ・ドンギュン刑事に、ホ・ドンウォン、同カン・ホンソク刑事に、ハジュン、元チャン組組長で今は不法入国者への職業(≒偽装結婚)斡旋業チャン・イスに、パク・チファン。特別出演での続投は、クムチョン(衿川)警察署長に、チョン・インギ、チンピラ情報屋フィバリュ(揮発油=ガソリン)に、ユン・ビョンヒ。【新参組】最凶のカン・ヘサンに、余りに印象が違うので最初は分からなかった「恋愛の抜けたロマンス」主演の柔らかい二枚目ソン・ソック、強力1班の新入り刑事キム・サンフンに、「めまい」主演の二枚目チョン・ジェグァン、財閥チェ会長に、お馴染みナム・ムンチョル、その気丈な妻に、「犯罪の女王」主演の美魔女パク・チヨン。

 

前作は余りのメチャクチャさに幻惑され思わず五つ星にしてしまいましたが、本作では、そのメチャメチャな面白さがさらにグレードアップしているといえるでしょう。前半、ベトナムのホーチミンを舞台に凶悪なカン・ヘサンが起こす誘拐・殺人事件を何の捜査権限もない韓国刑事が腕力だけで暴き出し、後半、韓国に舞い戻るカン・ヘサンと全面激突する、といった展開は巧いと思います。さらに、マ・ドンソクの太もものような腕から繰り出される張り手とボディブローは画面を揺らす程の迫力ですし、アメリカが第二の故郷であるマ・ドンソクの下手糞な無茶苦茶英語に死ぬほど笑えたりしますし、クライマックスの緻密な設計下での車や人のチェースの迫力も堪能できます。ついでに、お馴染みクムチョン(衿川)警察強力1班の面々や元組長、チンピラ情報屋との再会も、そんな筈はないのに不思議な懐かしさを感じる観客も少ないでしょうがいるかもしれません。個人的には、凶悪すぎるカン・ヘサンを演じるソン・ソックの悪人ぶりが妙に気に入ってしまったりします。

 

歴代9位の集客数はコロナ禍の影響もあって若干出来過ぎか、とか、海外ロケなら「モガディシュ」の方が一枚上だ、とか感じたりもするので今回は五つ星を見送りますが、まさにコロナを忘れて何も考えずに楽しむにはもってこいの作品だろうと思います。ただし、マ・ドンソクのむさ苦しい風体を2時間見続けても体調が崩れない観客限定です。