2017年4位 6,879,841人を集めた、2004年クムチョン(衿川)警察の朝鮮族暴力団一掃作戦を目茶目茶下品に描く…「犯罪都市」

 

ソウル南東端クムチョン(衿川)区。90年代から朝鮮族がチャイナタウンを作り、多くのヤクザ組織がしのぎを削っている。2004年、中国語看板が並ぶ下町。火鍋(羊肉)飯店の前で、刃物を持った男二人が喧嘩を始める。そこに通りかかった巨体男は、こともなげに喧嘩を収める。クムチョン(衿川)警察のマ刑事だ。ビリヤード場でトクサ(毒蛇)組の若衆が刺された現場への途中だ。マ刑事ら5人はその足で酒と女で稼ぐトクサ(毒蛇)組へ向かうと殴り込みの準備中だ。相手は同じ朝鮮族ヤクザ、イス組だと言う。今度は、遊戯と賭博で稼ぐイス組のゲームセンターに向かい、こともなげに刺した犯人を捕まえる。そんな時、高級車がトランクに男を詰めてソウルに到着する。降り立ったのは、中国ハルビンからチャンウォン(昌原)に流れ着いたフンリョン(黒龍)組ボスのチャン・チェンと二人の手下だ。男は博打で借金を作り返せなかったのだ。手下は男の手をハンマーで打ち潰す。こうして、地元朝鮮族ヤクザ、新参朝鮮族ヤクザ、地元ヤクザに、クムチョン警察が挑む大乱戦が始まるのだ…

 

クムチョン(衿川)警察強力1班マ・ソクト副班長に、巨体マ・ドンソク、中国からの違法入国フンリョン(黒龍)組ボスのチャン・チェン、硬軟自在の名優ユン・ゲサン、地元ヤクザ組織チュンシク組ボスのファン・チュンシク社長に、チョ・ジェユン、強力1班チョン・イルマン班長に、チェ・グィファ、朝鮮族ヤクザ組織トクサ(毒蛇)組を裏切るスンウに、イム・ヒョンジュン、フンリョン(黒龍)組悪逆なソンナクに、ここではお馴染みチン・ソンギュ、強力1班パク刑事に、ホン・ギジュン、強力1班オ刑事に、ホ・ドンウォン、強力1班カン刑事に、二枚目ハジュン、フンリョン(黒龍)組斧使いのヤンテに、キム・ソンギュ、朝鮮族ヤクザ組織イス組ボスのイス社長に、パク・チファン、朝鮮族ヤクザ組織トクサ(毒蛇)組ボスのアン社長に、ホ・ソンテ、下町の火鍋飯店の主人に、名老優ミン・ギョンジン、火鍋飯店で働くワンオ少年に、名子役オム・ジソン。友情出演では、広域捜査隊チーム長に、ドル箱スター、チョ・ジヌン。特別出演では、クムチョン(衿川)警察署長に、チョン・インギ。

 

映画技術を見れば、小洒落た脚本、映画美術、ロケ技術、擬闘などでキラめく映画的“知性“を堪能できますが、描かれる物語は、野良犬程度の脳ミソが繰り広げる、殺戮、乱闘、拷問、裏切、報復といった全く“知性”の欠片(カケラ)も感じられないものなので、観客をとことん選ぶでしょう。さらに悪いことには、エンドロールの17番目まで女優が現れず、そこまでの16人殆どが大部屋風ヤクザ風体という耐え難いキャスティングになっていることです。古い人なら「東映ピラニア軍団」を思い出して、さらに人相を悪くしたら…と想像すれば良いでしょう。こんな2時間を耐えるのには、相当の鍛錬が必要ではないかと思ったりします。

 

凄まじい暴力描写が平気で、2時間ヤクザ顔の洪水に耐えられ、真っ当な市民感覚を何処かに置き忘れた観客限定の糞映画ですが、ここまで徹底すれば、五つ星です。ちなみに、今年(2022年)5月18日彼らの4年後を描く「犯罪都市2」が封切られ、既に本作を上回る700万人超の観客が観たようです。楽しみで、待ちきれません。

 

楽曲について。エンディング・テーマは、ラッパーKillagramz(킬라그램)の「Dirty Dog」ですが、このラッパー、ハイトーンな声に似合わずマ・ドンソク風体だったりします。ちなみに昨年(2021年)大麻で逮捕されています。

 

※ ここに書いていた、2017年トップ10まとめは
<その他、雑談>「2016年以降の観客動員数ベスト10のまとめ」
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