チン・ギョンつながりで、出だし14分で衝撃の展開、ハートフル・ファミリー・コメディの大傑作…「レッスル!」

 

レスリング試合会場。20歳二枚目ソンウンが決勝戦を戦う。客席からは、元国家代表でコーチの父親クィボと可愛い幼馴染カヨンが必死で応援していて、そのかいあってかソンウンは優勝する。今日は、クィボの古い友人で大家のソンス一家とバーベキューだ。カヨンはソンスの娘で、おませな妹チヨンは「ソンウンと付き合ってるの?」とうるさい。ソンウンは心を決め、指輪を渡して告白するためカヨンを遊園地に誘う。そしていよいよ告白しようとするが、その前にカヨンが驚くべき告白をする。「私があなたのママになる。私はあなたのお父さんが好きなの」…この一言が、凄まじい破壊力でもって人々を混乱に陥れるのだ…

 

元レスリング国家代表カン・グィボに、初主演からわずか10年もはやドル箱俳優ユ・ヘジン、クィボの息子で国家代表に最も近いと言われるソンウンに、二枚目キム・ミンジェ、幼馴染カヨンに、「ガール・コップス」で魅力炸裂と聞くキュートなイ・ソンギョン、クィボの母親に、韓国映画界で最も尊敬するナ・ムニ、クィボの友人で大家カヨンの父親ソンスに、『パリ恋』から大ファンのソン・ドンイル、カヨンの母親ミラに、母親役が板についてきたクールな美形チン・ギョン、クィボの見合い相手トナ医師に、アラフォーでますますキュートなファン・ウスレ、ゲイでクィボの友人スンヒョクに、性格俳優キム・テフン。友情出演では、トナ医師のストーカーに、大好きなオ・ジョンセ。

 

とにかく映画は観てみないと分かりません。てっきり熱血スポーツ映画として見始めたんですが、開始から僅か14分、あのキュートなイ・ソンギョンの思い人があのユ・ヘジン、との告白に気が遠くなった次第です。あまりにルール違反の設定に呆然自失です。さらにその後の展開も笑えて時に切なく見事だと思います。その上、役者が良い。ユ・ヘジンもイ・ソンギョンもど真ん中ですが、周りを支える役者が素晴らしい。古い友人に娘を奪われると激怒するソン・ドンイル、その口うるさい妻チョン・ギョン、ゲイに悩む古い友人キム・テフン、ぶっ飛んだ見合い相手の長らく大ファンのファン・ウスレ、そして何より、韓国映画界で最も尊敬する41年生まれアラエイ女優ナ・ムニの速射砲のような説教が聞けて至福の演技陣といえるでしょう。

 

カヨンの台詞によれば、カヨン10歳クィボとの年齢差3倍の時に思いを自覚し、20歳年齢差2倍の時に告白して、その後年齢差は縮まる一方だと言います。年齢差恋愛といえばアン・ソンギとイ・ハナの五つ星「不器用な二人の恋(フェア・ラブ)」という傑作がありますが、まさかのユ・ヘジンで撮るのは明らかな反則と思われてなりません。残念ながら五つ星とするしかないようです。

 

ちなみに、劇中二度触れられる”スノーピアサーのティルダ”ですが、短髪・眼鏡・入れ歯の怪女を演じたティルダ・スウィントンのことでしょう。イ・ソンギョンもファン・ウスレもはるかにキュートに見えますが…

 

楽曲について。クィボがオバサン相手のレスリング・エクササイズBGMに使っているのは、キム・ゴンモ(김건모)1995年「間違った出会い(잘못된 만남)」、停電である二人が良い雰囲気になった時のBGMは、ヤン・スギョン(양수경)1988年「愛は窓の外の雨みたい(사랑은 창밖에 빗물같아요)」このヤン・スギョンですが、アイドルだったんでしょう、女優顔負けの美形です。