アニメは殆ど観ないのでよく知りませんが天才と聞いている押井守のアニメ「人狼 JIN-ROH」の実写化映画で、感想としては「ゴールデンスランバー」に続いての日流(日本作品が原作)作品、さらに、主演も連続してカン・ドンウォンとハン・ヒョジュ…ついでに追いかけたい女優ハン・イェリも出ている「人狼」

 

2024年、日米中露の確執が高まる中、朝鮮半島では南北統一合意がなされるが、韓国では反統一運動が激化し「セクト」と呼ばれる武装過激集団が現れる。政府も、それに対抗すべく完全武装の「特機隊」が創設するが、誤って無辜の15歳の少女たちを虐殺するという「血の金曜日事件」を起こしてしまう。この事件をきっかけに「特機隊」そのものが過激化し、「セクト」だけでなく政権側公安部とも激しく対立していく。5年後。地下水道から赤いセーターの少女が現れ、機動隊と対峙する反統一デモの一人の男に鞄を渡す。鞄の中身は手投げ爆弾で、男は「セクト」のメンバーだ。手投げ爆弾は機動隊に投げ込まれ、さらに「セクト」側の機銃掃射も始まり機動隊は大混乱だ。そこへ「特機隊」が現れ、「セクト」の面々は地下アジトへと逃げ込んでいく。そこには、赤いセーターの少女もおり、ジュース1パックと爆弾の入った荷物を預かる。少女は「セクト」の運び屋だ。「特機隊」が地下アジトに迫ってきて、「セクト」の面々は地下道を逃げるが、やがて追い詰められ「特機隊」の圧倒的な火力に殲滅される。一方、赤いセーターの少女は一人地下道を彷徨うが、偵察中の「特機隊」イム中佐と出くわす。イムは投降するよう命じるが、少女は爆弾の安全ピンを抜き自爆してしまう。イムは命を取り留めるが、5年前の「血の日曜日」の悪夢にさらに新たな悪夢が重なり心の傷は大きい。この事件をきっかけに「特機隊」への世間の批判が高まり、公安部は「特機隊」に一時活動停止を命じる。リハビリ中のイムに、かつての同期ハン公安部次長が少女の遺品である手帳を届ける。少女はイ・ジェヒ、「赤ずきん」と呼ばれる運び屋、親族は姉一人だけで、ハンは遺品を姉に届けろと言う。イムは姉イ・ユニに連絡し、南山Nソウルタワーで会うことになる。こうして二人は、凄まじい抗争の只中に飛び込んでいく…

 

「特機隊」イム・ジュンギョン中佐に、連続登場カン・ドンウォン、自爆した少女の姉イ・ユニに、こちらも連続登場ハン・ヒョジュ、「特機隊」訓練将校チャン・ジンテに、韓国映画界で一二を争う二枚目チョン・ウソン、ハン・サンウ公安部次長に、硬軟なんでもこなすキム・ムヨル、「セクト」金髪女性幹部ク・ミギョンに、追いかけ中ハン・イェリ、特別出演では、公安部長に、渋すぎるホ・ジュノ。監督は、「クワイエット・ファミリー」「箪笥」「悪魔を見た」など星0から5まで制覇する評価の難しいキム・ジウン。

 

コアなファンが多い名作アニメの実写化は、いつも冒険でたいてい大敗を喫するようですが、恐らく原作の力によるであろう、その陰鬱で荒廃した世界観は見事だと思います。意外にもネットレビューでも、韓国映画だからここまでは出来た、と好評とはいかないまでも許してあげよう、というレベルは保っているように読めます。特に地下空間とか甲冑みたいなパワードスーツとか大物・小物の映画美術はかなりレベルが高いでしょう。個人的には登場人物配置が好感で、何せ主人公の回りに一人も味方がいない状況でありつつ、各々の悪党たちに陰影があり世界観を深めていると思われます。スペクタクル、アクション、ロマンスといった映画バランスは、観る人によるんでしょうが、多少ロマンス強目と感じるのは、美男美女をキャストしてるのでやむなし、といったところでしょうか。

 

原作を知らないので五つ星というわけにいきませんが、かなり近い線をいっている近未来ダーク・ファンタジーだと思います。ストライク・ゾーンが広い映画だとは思いませんが、試してみる候補にはなるでしょう。