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イ・デヨンつながりで、「箪笥」。

以前も書きましたが、ハリウッド・スプラッターは大好きながら、アジアン・ホラーはまず見ないのですが、あまりに魅力的な女優陣のため、またまた、つい見てしまいました。これまた大正解。女優陣の抜群の演技だけでなく、脚本も素晴らしい出来ばえの、17~8世紀の怪奇談「薔花紅蓮伝」を下敷きにしたゴシック・ホラーの最高傑作です。

主演の姉妹には、「ピアノを弾く大統領」から銀幕二本目のイム・スジョンと「永遠の片想い」から同じく二本目のムン・グニョン。この若い二人の巧さは驚異で、二人を見るだけでも、この映画、十二分に価値があります。さらに、彼女たちの継母役「カル」「H」ヨム・ジョンアの狂気じみた演技も凄いですし、父親役キム・ガプスは一見頼り無げですが、その抑えの効いた演技はシナリオに実にマッチしています。ちなみに、イ・デヨンは冒頭に登場する怪しげな医師役ですが、相変わらず、不思議な存在感が魅力です。

役者も凄いんですが、実は、シナリオの出来の方が上回っています。当然とっておきの罠が仕掛けられていて、見終わる頃には、その、残酷な現実、現実の怪奇、怪奇な妄想、を巧妙に織り込んだ脚本に唸らされている筈です。スティーヴン・スピルバーグが史上最高額でリメイク権を獲得したらしいですが、この計算し尽くされた脚本なら頷けます。

夜中一人で見たことは心底後悔していますが、知的で芳醇なホラーの最高級品と云えるでしょう。