もう一本、イ・ボムスつながりで、「明るい家族計画(原題:良い暮らしをしてみよう)」。
1964年なかなか下がらない2.8%という高い人口増加率に悩む韓国は家族計画のさらなる推進のため全国へのコンサルタント派遣を決定。1972年子だくさんの田舎村、スンプン(順風)村ヨンドゥリ(竜頭里)に一人の未婚の女性コンサルタントが派遣され、古い因習に囚われる素朴な村人との丁々発止のせめぎ合いの幕が切って落とされる…
家族計画コンサルタントに、「私の彼のロマンス」以来二年振りのコメディ『パリの恋人』キム・ジョンウン、四人の子持ち熱血漢に、イ・ボムス、その妻に、「恋愛」で抜群の魅力を発揮したチョン・ミソン、跡継ぎの孫を待ち望む一見強欲な地主で里長に、「グエムル」ピョン・ヒボン、その長男に、アン・ネサン、村の変わり者に、「オールド・ミス・ダイアリー」ウ・ヒョン、子だくさんの里人には、「スーパースター☆カム・サヨン」でイ・ボムスの兄を演じたチョ・ヒボンの顔も見えます。
勿論、無知な村人に手取り足取り「夜の生活」を指導する、って骨子からしてコメディではあるのですが、見終えた感じにはなかなか骨太なものがあります。コメディもシリアスもこなすキム・ジョンウン、イ・ボムス、ピョン・ヒボンの魅力を巧く引き出しながら、子だくさんを幸せとし、或いは、男の跡継ぎを絶対とする田舎村での騒動を描く脚本は、面白うてやがて悲しき…って感じになってたりします。それにしてもキム・ジョンウンは相変わらず巧いです。ノスタルジックなファッションも似合っていて、生真面目なハムニダ体でコンドームの使い方を熱く語るとかの演技は、他に考えられないくらいハマリ役です。
慶尚南道ハドン(河東)でロケした農村風景も郷愁的で、抜群の演技も楽しめる作品ではありますが、子供を作ることの意味を深く考えさせるような所もある味わい深いコメディと云うべきかもしれません。
余談ですが、こんな活動のおかげで韓国の人口増加率は今や0.5%を切るまで下がったのですが、それはそれで日本と同様また新たな問題を生むことになるのは歴史の皮肉かもしれません。