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イム・チャンジョンつながりで、「シシルリ(時失里)2km」。

一見典型的なやくざ・ゴースト・コメディですが、妙なヒネリがあって不思議な味わいを持っています。組織のダイヤを持ち逃げしたチンピラはシシルリという小さな村で車が事故り、六人の里人たちが共同生活を営む集合住宅に泊めてもらうことになるが、トイレで頭を打って昏倒、ダイヤに目が眩んだ里人たちは彼を壁に塗り込めてしまう。一方ダイヤを取り戻すべく組織が派遣した親分は携帯電話の電波からシシルリを探し当てるが、シラを切る里人たちと次第に対立を深めて行く。そこに何故か謎の美少女幽霊まで絡んできて、ついには全面戦争に…ってなお話。フゥ~。

ダイヤを必死で探す親分に、イム・チャンジョン、ダイヤを持ち逃げしたチンピラに、『茶母』クォン・オジュン、廃墟となった孤児院「天使の家」に住みつく美少女幽霊には、ビジュアルなイム・ウンギョン、うさん臭い里長に、「グエムル」ピョン・ヒボン、イム・チャンジョンの手下には、「明るい家族計画」でもキム・ジョンウンの敵役としてピョン・ヒボンと共演するウ・ヒョンとアン・ネサンの顔が見えます。

死体を隠そうとする序盤はブラックなヒッチコック風、中盤はやくざ側が優勢で、終盤は里人が反撃、ところが、そこに美少女幽霊も絡んで、と不思議なリズムを持ったコメディです。ただ筋で笑わせるというよりは、イム・チャンジョンの岡八郎風ナイフ技、クォン・オジュンのゾンビ・ギャグ、ピョン・ヒボン里長の妙な迫力、全編濁りコンタクトでも美貌が隠しきれないイム・ウンギョンの妙に気弱な幽霊、例によって脱力系ウ・ヒョン、といったキャラクターで最後まで引っ張る、って感じでしょう。

暴力シーンがやたら残酷だったり、過去の因縁話がとってつけたみたいだったり、やくざも里人も似たようなものなんだけど…っと著しくバランスの悪い出来であることに異論はありませんが、役者を見てるだけであっと言う間に2時間近く経っちゃう、という意味では好きな一本です。