正直ルシウスに会いにコペンハーゲンからバルセロナまで行くのはちょっと面倒くさいなと思いました。

 

いくら欧州と言っても3時間はかかるし、コペンハーゲンの友人宅の出入りとルシウス宅の出入りに迷惑をかけない時間帯のフライトを選べば、値段もそれなりに高くなるし、泊めてもらえるといってもそれなりの出費になります。

 

一瞬考えて、そこに目的を見出しました。

 

1987年にサンフランシスコで知り合って以来のスペイン人女性の友人に会いに行こう!と。

 

 

 

 

彼女と出会った初回はお互い26歳の語学学校。この時彼女は妙に私を気に入って、彼女がバルセロナに戻った後にスペインにおいでと強いアピールがありました。


それで私は彼女を頼ってバルセロナに行き、彼女のお兄さんの友人宅の部屋を借り3ヶ月滞在し、この時に初めてのスペインポルトガル一周のバックパッキングの旅を1ヶ月かけてしたのでした。この経験が今現在の私の出発点だったのかもしれません


次は、30代に彼女が私のサンフランシスコの家に遊びに来て元夫と会い、彼女の40歳のバースデーパーティには元夫と共に参加したバルセロナ。それが最後でした。

それでも23年ぶりになるのですよね。

 

夫と離婚して後、私はノマドライフであちこちを旅していたとき英語のアカウントのFBを持っていたのですが、旅先で知り合いどんどん増えていくあまり関わりのないFBフレンドが面倒になり、そちらの方は横浜に住み始めた時点でフェードアウトしてしまいました。

 

ですから、彼女も私の近況を知ることもなかったのです。

 

 

 

 

もし、彼女と共に時間を過ごすことができるのならバルセロナにまで足を運ぶ価値はある、と思い連絡すると、異常な興奮でOKの返事をしてくれました。

そして、バルセロナ滞在二日目の夜、彼女の家の近くの地下鉄の駅で待ち合わせし、ドキドキしながらセルフィーを送って知らせます。

お互い会った瞬間には大興奮!大声で抱き合い、歩きながらも路上で2人でセルフィーで大騒ぎでした。

 

「あなたは変わりなく細いわね。私はパンデミックの間に20kg以上も太ってしまって以来痩せられないのよ」

 

出会ってすぐ、そう彼女が少し居心地悪そうに告げてきます。

 

実は今彼女がどんなふうなのか、来る前にFBを覗いていたので友人の現状は知っていました。週末の海での水泳の様子を動画で水着姿を晒しているくらいだから、太っているということで自己評価が低いわけではないようです。

 

 

 

 

この日は祝日で、昼間のルシウスと歩いたバルセロナの街中の多くの店は閉まっていました。なので、夕方の彼女の家の近くのおすすめレストランも軒並み閉まっていて、3軒目にようやく開いているレストランを見つけたのでした。

 

ちょっとモダンなアレンジをしたタパスレストランで、大変に美味しかったです。

 

彼女は私に「相変わらずお洒落でアーティストだわ」と繰り返し告げるのですが、何故にそう言われるのか違和感がありました。

 

それよりも私自身の肩書きは「旅人」であると自負しているからです。

 

彼女と過ごした37年前のバルセロナは、日本人である私がサンフランシスコに行き、そこからスペインに飛びポルトガルまで含めてバックパックの旅をしていた自身の強い印象があります。

 

「みやび、あなたは旅人だわ!私はあなたの映画を作りたいわよ!」

 

昔から福祉関係の仕事につきながら自主映画を身内と共に作っている彼女がそう感嘆し、私は彼女の予言のごとく離婚後もとてつもない旅人の人生を送ることになりました。

 

そんな大昔の話は鮮明に覚えていて、30代に彼女がサンフランシスコを訪れた頃はまだぼんやりと思い出せるのに、彼女の40歳の誕生会で訪れたバルセロナの印象が本当に記憶にないのです。

 

「あの頃のあなたはアーティストだったわ。旦那さんと一緒に私の部屋に来てディナーをしたし、ギフトにお手製のハンドバッグをプレゼントしてくれたじゃない!」

 

そう言われても、自分がどんなバッグを彼女にあげたのかも全く思い出せない。

 

そこの部分はすっぽりと記憶が抜けているのでした。

 

 

 

 

続く