地元で取っているアルゼンチンタンゴのスタジオで月1度のワークショップが先週の土曜日にありました。
アドルノというオチョの合間に入れる「飾り」を学ぶワークショップで、これがスムーズにできるようになると上級の余裕と美しさが出るので楽しみにしていたものです。
でも今までになくハードで、途中で腰がめっちゃ痛くなってしまいました!
更に日曜日にはアルゼンチンからのダンサーを招いたワークショプが都内のスタジオであるとの情報を見つけ、月曜日の午前中にクリニックの予約があることから、ワークショップを取りがてら都内のホテルに一泊することに。
今までは都内に泊まる時は比較的安い今時のお洒落なポッド形式の宿を取ってきた私でしたが、最近は頻繁に旅をすることもなくなったので、この時ばかりと落ち着いたホテルのダブルの部屋に泊まることが定着してきています。
都内のタンゴワークショップに参加するなんてめちゃ緊張ものです。
大概にそこのスタジオの生徒が主な参加者なのでアウェイな感じがたまらないのですが、たまたま着いて靴を履き替えていたときに座った隣にいたのが年配の女性でした。
彼女が鼻をかんでいたので「花粉症ですか?」と軽く話しかけたらスムーズにその後のやりとりが進み、なんとなく見知らぬ場所の居心地の悪さが和らぎました。
年頃は70代後半という頃でしょうか。白髪を見事に大きくアップスタイルにしていて、体型こそ壮年という感じですが、黒いレースのドレス姿に網タイツ。もちろん背筋もピンとしていらっしゃいます。
「初めてタンゴシューズを履いてからかれこれもう20年もなるかしらね」とおっしゃいます。
「10年前には踊っていたけれどもうずっとやめていて、最近家のことばかりやっていたらスカートもハイヒールも履かなくなっておばさんまっしぐらなので、これではいけないと先月から復活したばかりなんです」
そう彼女に告げたら、「それはとても素晴らしいことだわ」と褒めてくださいました。
「歳を取っても、男性のリードを受けて肌を触れ合うのはとても良いことよ」
そう彼女が仰った時に「そうなんです!」といきなり気持ちが高まった私。
以前宇都宮のスタジオのずっと若い生徒さんに「おばさんにならないようにタンゴに戻った」と話しても、ピンとこないような表情をされたので、その年配の女性とは気持ちが通じるようでとても嬉しかったのです。
「前はどこでレッスンを取っていたの?」と尋ねられたので「アメリカに住んでいた時に」と答えても「そうなのね」とさらりと受けた彼女です。
私:「日本に戻ってきてからハグの習慣がなくて、人肌に飢えている自分を意識してアルゼンチンタンゴがヘルプになるかもと思って再度始めた次第なんですよ」
彼女:「でも、日本人の男性と踊ってもつまらないわね。ハグの習慣がないせいかやっぱり肌は遠いわ。多くの人はオープンエンブレイスで踊るし。外人と踊る方がよっぽど楽しいわよ」
そうさらりと仰った彼女ですから、きっと海外で踊ってらしたのかもしれません。私的な多くのことは語る時間もありませんでしたけど。
タンゴ歴も知識も深く、新参者を馬鹿にすることなく、包容力があるエナジーをありがたく思いました。
ブエノスアイレスから来たアルゼンチンタンゴの講師がスペイン語で説明する傍らで、在日でスタジオを経営するタンゴダンサーのカップルがスペイン語から日本語に訳してのワークショップ。
1レッスン目は個々のターンテクニックレッスン。終わって休憩していたら、先程の年配の女性がお水を私の分まで貰って届けてくださいました。
2レッスン目はペアで実際のダンスでしたが、更に受講者が増し女性が増えたので待ち時間ができる次第。
フロアは混んでてとても狭くて踊りにくかったので、宇都宮のスタジオの広さと美しさ、そして受講者が少ない故に講師と直接踊れるということに敢えてありがたさを覚えた次第です。
続くミロンガは最初から不参加にしてました。二日連続でワークショップを取ったこともあり、日曜の2レッスンが終わる頃には足が痛くなりそれで正解。それに小さなスタジオでアウェイで参加するのはちょっとハードル高いし。
先程の年配の女性はミロンガに残ると言います。
「2レッスン取った後にミロンガまで続けるなんてお元気ですね」と言ったら
「さぁ、ミロンガではどれだけ誘ってもらえるか次第ですからね」と返ってきます。
確かに長い間座りっぱなしで誰からも声がかからなず踊れないこともあるということもあるという事実を思い出しました。そう、時には自尊心が傷つくこともある厳しい世界なのよ。
そんなことを思い出しながら、彼女にお水と話し相手になってくれたことにお礼を言ってその場を去りました。
その晩は快適なホテルのダブルの部屋でじんじんする足を投げ出しくつろいできました。
アマプラで見た映画だけど、大して面白かった印象はありませんでした。