シャワーを浴びて化粧をして、夜の8時過ぎに家を出て遠いと思っていたダンススタジオまで車を走らせていると、デジャブーのようなものを覚えます。

 

今住んでいる所から新4号線に直ぐに乗れて高速のように信号のない道路を飛ばしていると、SFベイエリアの家からサンフランシスコ市内まで躍りに出かけてた当時のことが脳裏に蘇り、全てのことは同時に起きていて意識が「今このとき」に光を当ててるだけ、みたいなスピリチュアルなことを思ったり。

 

足が痛くてちょっと飛ばし過ぎかな、と思ったりもしますが、今のところ10年前に踊っていたアルゼンチンタンゴを身体に思い出させるため、レッスンやプラクティカ(練習会)に頻繁に参加してるし、先日はプライベートレッスンにも投資してみました。

 

「あなた、前回の初級のクラスを取ってた時よりずっと楽しそうね」

 

そう先生のアシスタントの年配の女性に言われたけれど、初中級のクラスを取り始めたらそれなりの男性がいるので、やっとアルゼンチンタンゴの楽しさを味わえるくらいに踊ることができるので当然です。

 

初級のクラスだと男性陣もいないし、いてもモタモタしてるから「踊る」というレベルではないですからね。

 

 

 

 

サンフランシスコで踊ってた時に「タンゴは何年踊ってるとかいうカウントじゃなくてマイレージだからな」と言ってた人がいるけれど、確かに何時間踊りに費やしているかが技術のはかりになるようです。初中級のクラスにいる男性が7年前からクラスを取ってると知って「アルゼンチンタンゴが上手になるって本当に大変なんだな」とつくづく思わされましたし。

 

私が知る初級のクラスで一緒だった男性を朝のジムで見かけるという女性が彼を練習会に誘うけれど、結局は夜になると家を出てくるのが面倒なのか出てくる気配がありません。確かに夕方になってアルコールなんて飲んでしまったら9時からのプラクティカなんかに出てくるの億劫ですよね。車も運転できないし。だから、アルゼンチンタンゴを踊るのは時間とお金の投資が必要で敷居も高く宇都宮では人数は少ないです。

 

先日創作ダンスの集会に出てきてた女性にアルゼンチンタンゴを始めたことを話したら、彼女の旦那さんも踊ると言います。彼女自身も旦那さんと一緒にクラスを取ってたこともあったそう。なので誘ったら

 

「私、男の人嫌いなんですよ。いや、レズビアンって意味じゃないですよ。それに夫婦で習うってダメね。旦那にイラついちゃうし、続かない」

 

そう彼女は説明したけど、実際私の女友達も「知らない男性と密着して踊るのなんて耐えられない」と言った人がいたからなんとなく理解はできます。

 

私は全く気にならないですけれどね。

 

躍りにくい人とか、強引に引き寄せる人とかたまにいましたけれど、基本的にベイエリアでクラスを取ってる頃はみんなシャワーを浴びてマナーを守ってやってきてましたから、フレッシュで可愛いなと思わされました。

 

 

 

 

今日本で久々にアルゼンチンタンゴを踊ってみると、自分の中で枯渇していたものが潤うような「癒し」を覚えるのを意識します

 

「アメリカの生活の何が恋しい?」って外国人の男性に尋ねられた時「ハグ」と即答した私がいました。日本で生活してても最初の頃は平気で男性とハグをしていたら、その行為を誤解されてセクハラまがいなことを受けたりしたので、自分の行動を改めてやめたのですよね。

 

以前エクスタティックダンスを踊って最後に号泣して「人肌に飢えていた自分」をつくづく実感したけれど、その寂しさをアルゼンチンタンゴで補えるのではないかと気づいて再度始めてみたら、やっぱりそのようです。その昔ブエノスアイレスに渡った移民が、故郷を偲んで男女が深く抱き合って踊って慰め合っていたという歴史が理解できるようでした。

 

やっぱりさ、男性は踊るんだったらBBAとではなくて若くて可愛い女子をその腕に抱きたいよね。

 

そう理解するから、年増でも相手をがっかりさせないように「女性性」を感じさせる自身でいるように強く意識します。

 

アルゼンチンタンゴは男性に誘ってもらえてなんぼなんで(女性から誘うことはタブーとなっています)BBAでいることはかなりのハンデ。その中で踊る楽しみを得るのにはそれなりの努力をしなければならなく、これは現在の自分自身にもとても刺激的な女を取り戻す機会だと狙っての試みなのでした。

 

どこまで頑張れるのか、とりあえず様子を見てみます。

 

 

 

ブエノスアイレスで見たストリートタンゴダンサー