翌日、優秀なウチのスタッフ2名に
今のチェミンの状況を話をした。



「なに?その男、随分ヤバそうじゃない?チェミンさん大丈夫なの?」


「あんまり外に出なくていい仕事だし、なんかあったら連絡しろって言ってあるから」


「住所は?バレてないの?」


「今の所はな…」



チェミンの身体に付けられていた無数の傷痕の事を話した時、リョウギは両手で自分自身を抱くようにして身を震わせていたけど



「そんな男に引っかかる方もどうなんだって感じですけどね。もう関わらない方がいいですよ?」



キュヒョナは冷淡だった。

分かってるよキュヒョナ…。
最初から関わらなかった方が良かったんだって…。

けど…あの身体のアザや傷を見て
あいつの置かれている状況を知って
チェミンを突き放すことなんて出来ないよ。
オレがあいつを突き放したら誰があいつを守ってやるんだ? 誰もいない…


放っておけるか? 








今回の依頼主は 32歳の主婦 
内容は夫 37歳の浮気調査 。



「今までも何度か浮気してるんじゃないかって疑ったことがあったんです。 でも 証拠が無くて…離婚する時に証拠が無いと 慰謝料も少ないって聞いたので 今回は こちらにお願いしようと…」



成る程。
証拠集めて慰謝料がっぽり貰おうってわけですな。




「デカい会社に勤めてるエリートさんか…」


「37歳でこの年収はスゴいよね。しかもハンサム」


「浮気も今回が初めてじゃないみたいな事を言ってましたしね。金持ってて、男前でって、調子乗ってんじゃないすか?」



依頼主が出て行った途端そんな会話



「でもさ~?浮気されても家にお金入れてくれたらいいって思わないもんかね?せっかくエリート捕まえたのにさ」


「リョウギ?お前は愛がなくても金のために別れないタイプ?浮気を繰り返されてガマンできるんだ?金のために」



キュヒョナに聞かれて考え込むリョウギ



「愛してたら、、、それは…ムリかな…。」


「だろ?」


「こいつは嫁を舐めてるみたいだな。直ぐに証拠掴そうだな。3日でupしそう 」


「誰がやる?」



で、じゃんけんで負けたオレがやることになった。



って 何で 今回は じゃんけんで決めるの?所長のオレの指示とか…じゃねえのな。



「だって ボクこんなイケすかねえヤロウ尾行すんのヤダし」



リョウギ自由すぎね。



「おれも…この顔が嫌い」



キュヒョナそんな理由?

はいはい 分かりましたよ。





男を尾行し始めて4日目 。


つかこいつ、マジで遊びすぎだろ?
昨日、一昨日、一昨々日と会社帰りに女と落ち合ってホテルへ直行。しかも相手が毎回違うし…プロじゃなくて素人の女だ。

何人いるんだよ…腰、強過ぎだろ。

もう証拠は揃ったけど依頼人からは二週間分の金を貰ってるし、お相手が何人いるかしっかり掴んだ方がいいからな。


4日目の今日も 尾行を開始した。

今日も仕事帰りにお相手と待ち合わせてホテルへ入って行った。



「あいつ、、、」



ターゲットとお相手はホテルを出て二人は左右に別れ、歩き出す。
ターゲットの尾行はここまでにしてオレは浮気相手の方を追う。



「おいっ!」



暫く歩いてから 相手のヤツに声をかけた。

ビクンと跳ねる細い肩



「ヒョク…チェ?」


「何やってんの?」


「なに…って…」


「何やってんだって聞いてんだよ」


「っ!ヒョクチェには カンケイないでしょっ!」


「関係あるんだよ。オレはあの男の浮気調査してんだよ。嫁の依頼でな」


「うっ…うえっ…ふぇぇぇ~んっ 」



泣き方まで ドンへみたいだ。
オレは泣いているチェミンを近くの公園に引っ張っていった




「お前、あの男とどう言う関係だ?あの男は遊び人だぞ?」


「どう言う関係とかない。遊び人とか知ってる。」


「じゃあなんで…」


「お金…もらえたから」


「金?」


「食べてく…ために…」


「はあ?イラストの仕事は?」


「けいやく ハキされた…」


「何でっ⁈」


「出版社にビデオが…送られてきた…」



まさか…あいつか?

オレがチェミンを公園で助けた日の一週間後 出版社に 薬で朦朧としているチェミンのあられもない姿のビデオが送られてきた。
所謂 ハメ撮りってヤツだ。


しかもチェミンの絵は児童向けのイラストだから 健全なイメージが売りの所が殆どだ。出版社としては 男に犯されて喜んでいるような そんな乱れた生活をしている人間の絵など使えないという事らしい。



「ショックでふらふら歩いてたら知らないおじさんに声をかけられて、お金あげるからホテルに行こうって… ぼくは こういう風にしかお金をかせぐコトができないのかなって、もうどうでもいいやって…絵がかけないなら 身体を売っていきていこうって思った…」


「お前 マジで馬鹿野郎だな」


「ヒョクチェにはっ わかんないよっ」


「ああ…わかんねぇよ。けどな?大切な友達がヒドイ目にあって 仕事無くなって身体売ってるっての知って放っておけるかよっ」


「放っておいていい…」


「なあ…逆の立場で考えてみて…オレが そういう風に 困っててさ?そんで身体売ってるって知ったらお前はどうする?放っておけるか?」


「うっ…うぇっ…ぐっ うぇぇぇ~んっ」


「チェミン?お前…ウチの事務所でバイトしないか?」




チェミンを近くに置いておけば こいつを守ってやれるし、危険な目に遭うこともないだろうって思った…。

本当にナイスなアイディアだと
その時は思ったんだ。
















つづく