翌日 オレはドンへを連れて ジョンウン叔父貴の経営するホストクラブ




【STARDOM】に行ってみた。



「おっ…ヒョクチェどうした?」




ユンホ兄の舎弟が声をかけて来た


こいつも一応ホストだ




「ユンホ兄は?」



「兄貴はまだ出勤してないよ。早すぎんだろ?」



「出勤は何時頃だ?」



「夕方だよ No.1はね?ゆっくりご出勤なんだよ。因みにジョンウン兄貴もそんくらい」




そっか…




「しかしお前、ものスゲえ別嬪連れてんな?」




三流ホストがドンへをジロジロ見る




「こいつはオレの舎弟だよ」



「へえ ウチで働かせりゃあ すぐにNo.1に慣れそうだけどな。あ、それか ヒチョルの叔父貴のキャバクラの方がいいかもな」




一瞬ドンへの女装が浮かんだ。


うん。いいかも、、、


あっ ダメだ ダメだ ドンへを他の男がベタベタ触るなんて考えただけでムカついてくる ホストで女に触られんのも嫌だけど。


しかし どうしたもんかな。


ユンホ兄がいないんじゃ ココにいても仕方がないし このまま本部にってみるか?




「ゆのにぃにぃ、いないの?」



「うん。夕方にならないと来ないんだってさ」




あ、もしかしたら本部に叔父貴もユンホ兄もいるかもしれないよな。




「ドンへ、本部に行ってみようぜ。ユンホ兄に会えるかもしれないから」



「ホンブ?」



「ああ。ジョンスさんて人に会ったことあんだろ?」




そこで会えたら一石二鳥だった。




本部に入って行くとジョンウン叔父貴がいた。




「叔父貴、今日はユンホ兄は一緒じゃないんですか?」



「ああ ユノなら もういないぜ」



「え?」



「堅気になるつってな。ゆんべで足洗ったよ」




足を洗った?


急に?


何かがおかしい、、、


昨日 ドンへがユンホ兄を見かけた 

その夜 ユンホ兄が足を洗って堅気になった?


そんな事があるのか?




「ゆのにぃにぃは?」



「あ、うん。ちょっと待っててな?ジョンウン叔父貴…あの ユンホ兄はどこに行ったんですか?」



「堅気になったヤツの行方なんて知らねえよ 」




そんなわけないっ!


ゆっくりと息を吐いた。




「何で?おかしいよ!何で 急に堅気になるんです?あの人はNo.1なんでしょ?stardomの稼ぎ頭だ それにジョンウン叔父貴の右腕でもあるんですよね?そんな人をアッサリ辞めさせるなんて あり得ないよ 」



「俺は堅気になりたいってヤツを引き止めねえ主義なんだよ」



「うそだっ!そんな簡単に辞めさせる訳ないよっ 何なんだよ?何なんだっこれ…訳わかんねえよ」



「ヒョクチェっ!!」




響き渡るボスの声




「ボス…」



「ちょっと俺の部屋に来い」




ボスの部屋に行こうとするオレの後をついてこようとするドンへに




「ドンへ、ほらコレ見てみ?」




ジョンウン叔父貴が話しかけ 何かを見せている




「なあに?」




興味をそそられたらしい ドンへがジョンウン叔父貴の横にちょこんと座ったのを確認して ボスの部屋に入った。




「ジョンウンは叔父だぞ?何なんだ?あの口のきき方は?」



「すみません…でもっ オレ…ボス?ユンホ兄は、、、?」



「ジョンウンも言ってたろ?足を洗った」



「昨日 ドンへがユンホ兄を見かけたそうです」



「そうか…」



「ユンホ兄の事をドンへは 『にぃにぃ』って呼んでました。二人は知り合いなんですよ。ドンへが施設にいた頃にユンホ兄に可愛いがってもらったって、ユンホ兄もその施設にいたんですよね?なんでドンへに会いに来なかったんですか?同じ組にいるのに、ユンホ兄もドンへを弟みたいに可愛いがってたんでしょ?心配じゃないんですか?心配してくれてたんじゃないですか?昨日…ドンへはユンホ兄は自分に気づかなかったみたいだって言ってたけど、本当は気づいてたんでしょ?ドンへに姿を見られたから 辞めたんだ!何で?意味わかんねえ…」




「、、、ほら 」




ボスが一枚の紙をテーブルに置いた




「な…に?」



「ユノの連絡先だ。直接話を聞きなさい 」




どういう事なのか全く分からない。

けれど、ユンホ兄に会えたらこの謎が全て解けるような気がしていた。ドンへの親父の事も全て、ユンホ兄は知っているんだ。



ボスに頭を下げ、机の上の紙を掴んで ボスの部屋を出た。




「ドンへ?帰るぞ」



「ほーい!ジョンウン、まーたーね」




あわわわっ お前っ!叔父貴になんつう口の聞き方だよ しかも呼び捨てだし




「ああ、またなドンへ」




ニコニコのジョンウン叔父貴。


あ、いいんだ?


ドンへを連れて外に出た




途端 




響き渡る一発の銃声



ハッとして振り返った。


ウソだろ…

ウソだ…





「ドンへっ!!」




ドンへが腹から血を流して



倒れてた。




「ドンへっドンへがっ」




走り寄って抱き起こす




「ヒョクチェっ!!」




本部から組の連中がワラワラと出て来た




「病院に連れていけっ!!」




ボスが腰からピストルを抜き出しながら叫んだ。


若い衆が車を回して来てグッタリしたドンへを担いで後部座席にの乗り込んだ。




「いたい…いたいようっ…ひょくぅ…いた…いよ」




泣きながら痛いと訴えるドンへ




「ドンへっ!」




腹を抑えるドンへの手もオレの手も真っ赤に染まって



何で血が止まんねえんだよっ!?




「さ…さむい…さむい…」




ガタガタと身体を震わせるドンへの全身を必死で摩った




神様、、、




「ドンへっ なんで…だよ?何で?大丈夫だから!オレがついてっから 」



お願いだから、、、




「ひょ…く…と じゅっと…いっ」




真っ青な顔でそこまでいって そのまま目を閉じて 何も反応がなくなってしまった




「ドンへっ⁉︎ウソだろ?おいっ!一緒にいるって言ったろ?ずっと一緒だって…ずっと側にいるって言った…ろ?なあ?オレらこれから まだ楽しいこといっぱいするんだろ?…ほらっ お前、行きたいって言ってたろ?あの遊園地、ドンキードンキーだよ?一緒に行こうぜ!なあ?行くんだろ?ソフトクリーム食ってさ?ポップコーンも買ってやる 。お前…何乗りたい?なあ?ドンへ…返事してくれよ!なあ?」




頼むよ オレを置いて逝かないでよっ

ドンへっドンへっドンへっ




やめてよっ!何なんだよっ! なんの冗談だよ⁉︎




「もっとスピード出せよ!!」




泣きながら 運転席を蹴った。









「弾丸は摘出できた。だからって油断は出来ねえがな。あとは本人の気力次第だ。





医者が言う





大丈夫だ。


気力なら 大丈夫だよな?



オレとずっと一緒にいるって言ったもんな?オレと一緒生きていくために お前は戻って来てくれる。


だろ?


ドンへ…。




ボスとヨンウン兄貴ジョンウン叔父貴が駆けつけて来てくれた。




「撃ったヤツは…誰だったんですか?ドンへが狙われたんですか?」



「ああ。ドンへを狙ってたんだ。狙撃した奴は…警察の人間だったよ」




警察!?




なんで?警察が? 



ドンへを施設から引き取ったのも警察

ドンへを狙撃したのも警察




頭がおかしくなりそうだった。





「ドンへの側に居てやってもいいですか?」




ボスが医者を見る




「側にいるだけならな。」



「お許しが出たから側にいてやれ。目が覚めた時、お前が側にいればドンへも安心すんだろ。」




ボスにそう言われて オレはドンヘの眠る集中治療室に入った。



チューブだらけでベッドに横たわるドンへの側に座って 手を握る。



お前の過去に何があった?

なんで命を狙われた?




お前は 何者なんだ?ドンへ…。






病室に陽がさして目を覚ますと



ベッドと反対側


ドンへの手を握って静かに涙を流す


ユンホ兄の姿があった。

















つづく