「さみしかったぞ?」
ドンへの隣に潜り込むと
目を覚ましたらしいドンへが 毛布を両手できゅっと握りしめて そんな事を言ってくる
何じゃいっ⁈その萌え萌えな仕草は
萌え萌えドンヘをむぎゅっと抱きしめて
「ごめんな?」
すぐ謝っちゃうオレ、だって可愛いんだから仕方ない
「ゆのにぃにぃ」
「え?」
「きょーね?ゆのにぃにぃに会った」
「ユノ兄?ユンホ兄の事知ってんの?」
驚いてベッドから飛び起きた
「ん…知ってるよ。ゆのにぃにぃはオレに気づいてくれなかったけど、、、」
「どこで会ったの?」
「会ったてか、んとね?うしろ姿みたの。外をそーじしてたら、目の前を歩いてたの。だからオレ走って追いかけたんだけど、ゆのにぃにぃはすぐにタクシーに乗って行っちゃった」
「どういう知り合い?」
「んーっとねっ?昔いっしょに住んでた。13歳くらいの頃から」
13歳の頃から?一緒に住んでた?
え?なに?なに?なに?なに?なに?
「お前の記憶はどれくらい前まで遡れる?」
「ほぇぇ?しゃかの?ん?」
「えっと…」
ガキの頃の記憶まで行くと親父の事を思い出しちまうだろうから…どう聞けばいい?
「どこでユンホ兄と一緒に住んでたの?」
「んーー…と。13歳の時に おかーさんが死んじゃったの。それで しせつ?に行った。そしたら ゆのにぃにぃがいて、すごくやさしくしてくれた。おにーちゃんて呼びなって言ってくれて、そんでゆのにぃにぃが18歳になって、しせつを出て行ったの。それからも何回か会いに来てくれたけど、オレがしせつを出てからは会ってなかったんだ」
「施設を出てからお前は何をしてたんだ?」
「18でしせつを出なきゃいけないってなって、オレ行くとかないから困った。そん時に知らない人が来て一緒に暮らそうってゆってくれたんだ。そんで 3〜4年くらい?かな?その人のおウチにいた。すごくやさしくてね。その人はケイサツの人みたいだったんだ。おウチにケーカンの制服があったから。
けど、その人は病気で死んじゃったの。オレ、これからどうしようって思ってたら、知らない人が来て、 なんか色々な人のトコに連れて行かれて、最後はココに来た」
、、、ちょっと待って。
知らない人が施設からでたドンへを引き取った?そいつは警察官で、その警察官が亡くなって、また知らない人が来た?
たぶん、その第2の男も警察官だろう。
その男が元警察官のキム.イルソクの所にドンへを連れて行った
キム.イルソクはドンへをウチのボスの兄貴であるパク.チョンジンにドンへを預けた。
警察官→警察官→元警察官→マフィア→マフィア
なんだ?この図式。
頭の中で
時系列で追ってみる。
1. ドンへの親父はチンピラだった。その父親はドンへが6歳の時に流れ弾に当たって死んだ
2. ドンへの母親はドンへが13歳の時に病気で亡くなった。
3. 13歳のドンヘは施設に預けられ、そこでユンホ兄と出会った。
4. 18の時 警察官(と思われる)人間がドンへを引き取る
5. ドンへが22歳の時、その警察官が死亡。その後に別の警察官(と思われる)人間が元警察官キム.イルソクの所にドンへを連れていく
6. キム.イルソクがドンヘをマフィアであるパク.チョンジンのところへ、、、
7ドンへを預けられたパク.チョンジンがウチのボス、パクジョンスの元にドンへを預けた。
下っ端のチンピラの倅に何故こうも警察官が絡んでくる?
「お前の…」
親父は本当にタダのチンピラなのか?
そう聞きたかった。
「なあに?」
「いや…ユノ兄に会いたいか?」
「うん 会いたい!ひょく、にぃにぃのコト知ってるの?」
「知ってるよ」
しかし…
何かがおかしい。
ドンへがウチの事務所に来てから既に4ヶ月が経っている。
キム.イルソクがボスのところにドンへを連れて来た時、ボスはヒチョル、ジョンウン、ヨンウンの三人の幹部の中の誰にドンヘを預けるか考えた筈だし、ヒチョル、ジョンウンの二人にもドンヘの話はしている筈だ。
結局ウチの事務所に来ることにはなったけど
ユンホ兄だってジョンウン叔父貴からドンへの話は聞いている筈だった。
ドンへを知っているなら会いに来ても良さそうなものなのに、ユンホ兄は一度もこの事務所に来なかった。
ってゆーか
考えてみると、前はユンホ兄も頻繁にジョンウン叔父貴と一緒にこの事務所を訪れていた。
それなのにドンへがここに来てからは一度も来ていない。
何故会いに来ないんだ?
会いに来ない理由があるような気がした。
違うな。会えない理由があるような気がした。
「ドンへ?明日 ユノにぃにぃに会いに行こうか?」
「ホントっ?会えるの?」
「 会えるよ」
「うわーいっ」
明日 本部に行く前にドンへを連れてジョンウン叔父貴の店に行ってみよう
ユンホ兄が何かを知っているかも知れないと思った。
つづく