ドンへとゆっくり会うことができなくなって
もう随分たつ

月に一度か二度

休みの日の午後に会って慌ただしく身体を重ねて…

ドンへは疲れているみたいで、そのまま眠ってしまう事が多いから、ゆっくり話をする余裕もないまま、ドンへを家に送って行って別れる。

仕事で毎日会えると言っても、やっぱりドンへは疲れているみたいで、前みたいにキュヒョナに絡んできゃっきゃ笑ったり、他のメンバーに甘えたり、そんなこともしなくなって… 
ぼーっとしている事が多くなった。



「ドンへ?大丈夫か?疲れてんの?」


「ううん…へいき」


「少し寝る?ココおいで」



膝をぽんぽん叩いて両手を広げた



「へいきだってば」



怒ったように言って、立ち上がるとオトコ衆の部屋を出て行ってしまった。



「ケンカですか?」


「知らねえ…。てかお前見てたの?」



「一部始終」


「覗き魔っ!」


「それが趣味なんですもんっ!、、、 なんて笑い事じゃないですよ。ドンへが変だ」


「ああ。」


「ああ。じゃなくて 」


「疲れてんだろ。1時間半かけて出勤してきて、仕事から帰って稽古して、休みの日でもオレと会わない日は朝から晩まで稽古してるって言ってたし」


「ねえ?それでいいの?」


「何が?」


「今のままで、ですよっ 」


「あのさ。オレはね?ドンへがやりたい事をやればいいんじゃね?って思ってんだよ。あいつの人生なんだし、、、。別に、全く会えないって訳じゃないしさ。ここにくれば会えるし、月に何回かでも二人でいられるんだし… 。まあ…本音を言えば剣術なんてクソ喰らえ!だけどね」


「でも…最近のドンへは別人みたいで…おれ ちょっとさみしいんですよ」


「今は 久し振りに稽古に励んでるから、疲れてんじゃない?そのうち、前みたいにアホで可愛いドンへにもどるよ」



そう信じてた。
違うな、、、そう思いたかったんだ。






しゅーくんがオレのアパートを訪ねてきたのは 
キュヒョナとそんな話をした一週間後だった。



「あっ…?えっ?」



ドアを開けて、 驚くオレに



「驚きましたよね?すみません急に」


「いえ… てか どうしてウチに?ドンへは実家にいるはずですけど…」


「うん。さっきまで一緒に稽古してたから知ってるよ 」


「じゃあ 何ですか?」


「君に話があってね」


「オレに…?あっ…」



玄関先だって気づいた



「どうぞ」



ローテーブルを挟んで二人で向かい合う。

正座するその姿も美しくていらっしゃる…
そんで?男前で?ドンへの憧れの剣術を身につけてて?

けっ!!



「話ってなんですか?」


「今…ドンへの状況は知ってるよね?」


「状況って、、、剣術を極める的な?」


「そう。それで君にお願いがあって」 


「なんすか?」


「単刀直入に言うよ?ドンへと別れて欲しいんだ」



出たっ!薄々、そんな話だと思ったけどね。



「何でですか?それと剣術を極める的な事とは関係ないと思うけど?」


「君と…いや、相手が君だからって訳じゃないけどね。まあ そういう相手がいると鍛錬の妨げになるんだ」


「どうしてですか?」


「恋人の事を考えていては気が乱れるし、集中力に欠ける。それに 君と会った日と翌日は まるで 腑抜けだ。身体も心もフラフラしてる。」


「だから 別れろって?」


「ドンへの将来を想うなら、その方が…」 


「いやだねっ!」


「っ…」
 

「なんだそれっ?気が乱れる?集中力に欠ける?そんくらいの事で気が乱れるくれえなら剣術なんて辞めちまえばいい!オレの存在があろうが 無かろうが 普通に生きてれば気が乱れる事なんてあんじゃねえの?もし オレのせいでドンへの気が乱れてんなら あんたが正しく導いてやりゃあいいだろ?あんたは センセーなんだろ?そういう精神的な事を教えてやるのもあんたの…センセーのやることなんじゃねえの?」



一気に捲し立てた
 タメ口になってるけど、んなもん関係ねえ!



「オレと会った日とその翌日はフラフラだって言ってたよな? じゃあセックスしなきゃいいんだ?それなら このまま付き合い続けてもイイって事だろ?」


「そういう問題じゃないんだよ」


「んじゃあ どういう問題なわけ?」


「君はドンへの性格をよく知っていると思うけど…あの子は甘やかされて育ったおかげで大人になった今でも甘えたで、君が側にいると君に頼りたくなる。稽古でキツイ時とか、君に会いに行きたくなるだろ?」


「それが問題?あんたが厳しく鍛えてオレが甘やかす。緊張と緩和で均整が取れると思うけど?」


「俺はドンへを精神から鍛えたいんだよ。折角鍛えても君が甘やかしてしまったら、また 一からになるだろ?今のドンへは腕は一人前程度になってきたけど精神面ではまだまだだ…」


「聞いていい?」


「どうぞ」


「じゃあさ?ドンへが精神的にキツイ時って誰がケアするの?オレに頼れなかったら、誰があいつのケアするの?あんたがケアするわけ?」


「それが師範としての責任だからね」



師範としての責任?そんなの嘘っぱちだ。厳しく育てて泣いたら甘やかす。
アメとムチでしゅーくんだけしか見えないように縛り付けたいだけだろ?



「ねえ?それってさ、ケアするって名目でドンへを自分が甘やかしたいって聞こえるんだけど?自分がドンへを可愛いがりたいって聞こえるし、ドンへを愛してるからオレを排除して自分だけを頼って来るようにし向けてるとしか思えないんだけど?」


「そう思うならそれでいい」


「否定しないんだ?」 


「別れる気は無い?」


「当たり前でしょ?ドンへだってそうだよ 」


「ドンへから言えないだろうから、出来れば君から言って貰いたかったんだけど… 」


「別れるつもりはないよ。話は終わりましたよね?もう 帰って貰っていいですか?」


しゅーくんは仕方ないって感じで立ち上がると 玄関に向かった。


「もしもドンへが別れたいって言っても君はただを捏ねて別れないって言うつもり?」



オレは黙って玄関のドアを開けた。





ドンへ…

お前はオレと別れたいの?

まさか…な。

今は 剣術ってのに夢中でも、またオレの所に戻ってくる…よな?






















つづく