『みてっ! ひょくちぇっ、すっごい大っきな お月さまだよ』
『ホントだあ~!ちょー でっけえ』
『ねえねえ ひょくちぇ』
『なんだよ?』
『おみみ』
『んー?』
『んとね。 大っきくなったらどんへ、ひょくちぇのおヨメさんになったげるね』
『うん!オレはどんへのオムコさんになるっ」
『やくそくだよ?』
『おうっ やくそくだー』
そういって、ゆびきりをして
やくそくしたんだ。
オレたちは
ずっと いっしょだって…
ずっと はなれないって…
やくそくしたんだ。
「ヒョクチェっ! 起きなさいっ!何時だと思ってんの? 」
母さんに叩き起こされた。
あ…夢見てたんだ?
懐かしい夢。
「休みだからって ダラダラしてんじゃないの!母さんもう出かけるから、ご飯は用意してあるからね。食べ終わったら片付けて食器も洗っておいてよ?」
言うだけ言ってバタバタと出かけて行ってしまった。
ドンヘとした《結婚の約束》
アレって… 何歳の頃だったっけ?
確か、、、
そうだ、5歳の時だ。
家が隣同士だったオレとドンヘは同い年、親同士も年が近くて、家族ぐるみで仲が良かった。
休日になると二組の家族でよく出かけていた。
あの日もドンへんちのワゴン車でどこかに出かけてた。その帰りの車の中、オレとドンへは1番後ろの席にいた。
オレは眠っちゃってたらしくて、ドンへに揺り起こされだんだ。
そんで
まん丸のでっかい月を指差して…
大っきな お月さまだねって…
それで急に『大きくなったらヒョクチェのお嫁さんになる:』って、、、
5歳だったオレでも 男どうしは結婚出来ない事くらいは知ってた。
けど おヨメさんになるって言った時のドンへの顔が月明かりに照らされてキラキラしてて、すごく可愛くて…そんなドンヘに『結婚はできないんだよ』なんて言えなかった。
それに…
オレだってドンへの事は大好きだったから、本当に ドンヘがオレのお嫁さんになってくれたらいいなって本気で思ったんだ。
そしたら ずっと一緒にいられるって…
だから
ドンへの顔をキラキラに照らす
デカくて まん丸の月に誓って
約束の指切りをしたんだ。
つづく