ニジクロシャターン走法 Vol.4(二軸走法③) | 中讃ミドルクラブログ

中讃ミドルクラブログ

陸上は楽しくありたい!が原則で,それでも本気で世界一のアスリート育成を目指す,うどん県骨付鶏市を拠点に活動中!陸上クラブの日常を書き綴ります。

では,なぜ一軸走法が悪くて,二軸走法がいいのか。
実はこれには理由があって,その最たるものが競技場の変化です。
昔のトラックは,学校の運動場と同じく土でした。
その後少し進歩して,煉瓦の粉を固めた赤土になりました。(今の競技場のトラックが赤い色をしているのもこの色を真似たためです。その気になれば今ではどんな色でもできます。競技場によっては青いトラックもあります。)
これが,私が陸上競技に出会った東京オリンピックまでの競技場でした。

ところが,1968年のメキシコオリンピックでは,初めてゴム製のトラックになったのです(今の丸亀競技場の原型です)。
当時は「タータントラック」と呼ばれ,日本語では魔法の絨毯とも言われていました。
この全天候型トラック(雨に記録が左右されないという意味で現在ではこう呼ばれます)の出現が走りに大きな変化をもたらしました

というのは,それまでのトラックは土ですから,地面をしっかりけらないと前に進みません。
そのため,しっかり地面をけるフォームが大切であり,キック力を高めることが何よりも優先されていました。
スパイクシューズもピンがしっかり土に突き刺さって滑らないように短距離用では何と18mmもありました(現在の全天候型では7mmが標準です)。
とにかくしっかりけること,これが求められていたわけです。
ですから東京オリンピックで優勝したボブ・ヘイズ選手の圧倒的な筋力にばかり目が向いてしまったわけです。
もちろん日本のトップスプリンター達も総じて太い筋肉質な腿をしていました。

ところが,全天候型トラックの出現でこの常識が崩れ始めたのです。
それはそんなに筋力がありそうに見えないのに速い選手が現れ始め,その走り方を分析すると,今までのように力強く地面をけっていません。
むしろ脚は体の前で回っていました。そこで言われ始めたのが「腿上げの重要性」です。
つまり後ろにけると脚が流れるからスピードが上がらない,それよりも前に前に脚を運んだ方がスピードが上がるというわけです。
いいところに目が向き始めたわけです。
そしてそれまでは,一流選手に比べると見劣りしていた高校生や中学生までもが,日本のトップに並ぶような記録を出し始めたのに及び「スピードは筋力ではない」ということが明らかになってきました。(メキシコ大会の時の日本中学記録は香川県の大前選手が出した11秒1,日本高校記録が10秒5,日本記録が10秒1だったのに対し,現在では中学記録が10秒56,高校記録が10秒01,日本記録が10秒00とどんどん大人との差が縮まっています)

では,どうして筋力に劣る中高校生が好記録を出せるのでしょう。
その理由にあげられたのが,ゴムの反発を利用できれば,筋力が弱くても速く走れるという結論でした。
わかりやすい例をあげれば,地面の上で高くジャンプするためには大きな筋力が必要ですが,トランポリンを利用すれば子供でも高くあがれるということです。
ゴムは土と違って縮んだ後は,反発力を与えてくれますから,ゴムボールのように走ればいいということです。
ただし,ゴムボールと違う点は,ボールの場合は弾むもの自体がゴムですが,陸上では地面の方がゴムだということです。
しかし理屈は同じです。

では,ゴムボールを高く弾ませるにはどうすればいいか。
言うまでもありません。
真下にボールをたたきつけることです。
斜めに投げつけると別の方向に跳んで行ってしまいます。
真上から落としたときにのみ,地面から返ってくる力はそのまま真上に戻ってくるのです。
これが結論です。

となれば,脚も同じことです。
真下に向かって地面を突いてやれば,その反発力はそのまま返ってくるわけです。
これが二軸走法の原理です。

今回は言葉ばかりになりましたが,しっかり理解して下さい。

続きは次回。
では,また!!