第33回都道府県対抗女子駅伝を見て | 中讃ミドルクラブログ

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陸上は楽しくありたい!が原則で,それでも本気で世界一のアスリート育成を目指す,うどん県骨付鶏市を拠点に活動中!陸上クラブの日常を書き綴ります。

1月11日に第33回全国都道府県対抗女子駅伝がありました。
この大会は,NHKが全国放送したので見た人もいると思います。

私が教えた選手も出ていましたが,彼女は中学校時代は県のランキングの10位にも入っていません。
そんな彼女ですが,高校に入って一生懸命練習に励み,1年生ですが,先日の高校駅伝に続いて見事全国大会で走ることができました。
しかも,順位を下げずにたすきを渡した姿を見て私は感動しました。

このところ,香川県はずっと低迷していて,ここ10年間の最高順位は37位,40位台が7回です。
しかし,12年前の21回大会では13位になっているのですから,上位に食い込むことは決して不可能ではないと思います。
今後の奮起を期待したいと思っています。
みなさんの中にも中長距離に素質を秘めている人がいるかもしれません。
自分には関係ないと思わずに,高校に入ったらどんどん長い距離にも挑戦して下さい。
才能はどこに隠れているかわからないのですから。

さて,話はこの大会を見ての感想ですが,近年まれに見る大接戦で見応えのあるレースでした。
優勝がゴール直前で決まった(差は1秒)だけでなく,3位と4位もゴール直前で入れ替わりました。
42kmも走ってこんなゴールというのも非常に珍しいことです。
その上1位と4位の差が3秒という多分過去に例を見ない僅差の大会でした。
こうした接戦のため,同時に多くの選手の走る姿を観察できるという幸運に恵まれました。
そこで私が思ったことを書いてみます。

アンカーの走りですが,これがおもしろいことに,全員に長所,短所があって「この選手が強い」と言い切れる選手がいませんでした。
例えば私がいつも話している「二軸走法」という観点から見れば,京都,大阪,兵庫,鹿児島のアンカーは甲乙つけがたいフォームでした。
愛知の選手は,惜しくも1.5軸くらいでした。
ところが,左右の足の上に体重を乗せた走りという観点からは,愛知の選手が最も優れていました。
つまり,上半身が左右にゆらぎ,接地した足の上に上半身を乗せた走りができていました。
他の選手は上半身が動かない足だけ二軸走法です。
また,地面に足が着いている時間の短さ(これは体重移動がスムーズに行えていることを意味します。ですから脚の屈伸運動が少なく,筋肉が疲れにくいのです)を見ると愛知の選手がダントツ,続いて京都の選手という具合です。
また,脚力の強さから見ると大阪の選手が勝っているようでした。
ということから,トータル的に最も優れているのは愛知の選手だろうと思って見ていると,案の定,どんどん後方から迫ってきました。
もしかしたら競技場内で抜くかもと思っていましたが,競技場に入ってカメラが横から写し始めたのを見て「これは抜けないな」と考え直しました。
というのは,股関節が前後に開いていなかったからです。
この走りでは,スプリントのフォームに切り替えることができません。
腰が固定して股関節が開かない人は,ピッチに頼るしか,スピードを上げることができませんから,一気にスパートできないのです。
こうした選手は,ロードにいる間に抜くしかありません。
京都の選手も似た走りですから,特に大阪の選手のスパート力が抜けていたわけではありませんが,脚力の差で京都に競り勝つことができた。
そう私は考えました。
また,前から見る限りでは,愛知の選手よりも足の接地時間が長いため,中間的な存在だと思っていた兵庫の選手は,まっすぐで長い脚という強力な武器でスパートをかけ,愛知の選手をゴール前で逆転しました。

というわけで,それぞれの長所と短所が出たわけですが,残念ながらどの選手も優れた部分ばかりではありません。
そのため,ラストスパートがききません。
日本人相手にならこうしたスパートでも勝てるかもしれませんが,外国人相手では通じないだろうと思いました。
やはり最後はスピードなのです。
ですから,スピードに恵まれたみなさんが,今後長距離に進めば,大きなアドバンテージ(有利性)を持てるかもしれません。

それでは,また!!