国立市 さくら通りからのメーセージ (前編) | 中央園芸のブログ

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こんばんは、押田です。2月7日(土)、東京都国立市役所において、

「さくら通り改修事業に伴う街路樹についての意見交換会」が行われました。


国立市のさくらの問題は8日,午後1時からのTBSテレビ「噂の東京マガジン」でも取り上げられました。

この問題の経緯については、昨年の私のブログを参照して下さい。

http://ameblo.jp/chuou1/entry-11938298432.html




国立市のさくらの問題、2月7日までの流れを説明したいと思います。


1月19日(月)、さくら通りの第三工区において、樹木医により、C判定(不健全)と診断されたソメイヨシノの伐採、及び剪定作業が行われました。


市側の説明が足りない、納得いかない、

と、伐採に反対する住民が工事の中止を求め、現場に集結。

作業の中止を、市に求めました。











伐採予定のさくらの幹には、「切らないで!」

という市民の叫びが・・。















市民からの猛烈な抗議により、この日の午前11時頃、

結局作業は枝を数本剪定しただけで中止となってしまいました。















私は10月にここを訪れて以来、このさくらの伐採、植え替えの問題には注目していました。

すでに工事が完了した、第一工区の姿に、唖然としてしまった市民が伐採計画の十分な説明や見直しを市に求めますが、すでに決まった事だとして、なかなか反応しない国立市側。

そのまま時は過ぎ、1月19日、ついに伐採作業の日になってしまったというわけです。


今回C判定を受けた4本のソメイヨシノが伐採対象となっていました。


こちらは伐採予定のソメイヨシノ。

樹木医からC判定(不健全)と診断された木です。


普通に見る限り、伐採するにはもったいないと思えるような元気そうな木です。


花芽も普通に付いているし、大きな枯れ枝も少ない。

しかし幹の空洞化やベッコウダケの有無などの診断の結果から倒木の危険が高いという診断でした。








21日の水曜日、天気も雨だったこともあり、知り合いの造園業者数名ともう一度サクラを見て回りました。

とても急な出来事でしたが、住民の方も多く集まりました。














赤いテープが巻かれたものが伐採予定の印です。


90cmほどの狭い植樹帯にさくらは必死に根を張っていますした。

何とか倒れまいと頑張っている様子が伺えました。














こちらのイチョウは、自転車道の新設に伴い、伐採することになっているもの。


倒木の危険がある訳でもなく、樹勢は旺盛です。

健全な木々を道路のために伐採するというのは、大変心苦しいものだと思います。


この日、国立市役所の工事担当の方と我々でお話する機会が設けられました。



















この道路の完成予想図です。

現在4車線の道路を2車線にし、自転車道を新設、歩道の凸凹を整備するというもの。

4車線の道路を2車線にする。一緒に歩道の凸凹も直すという工事です。

サクラの根上がりを直し、自転車道もつくり、歩行者と自転車を分ける。

高齢者にも優しい、とても良い計画だと感じます。


しかしながら、長年市民とともに親しまれてきたさくらやイチョウへの配慮が足りなかったのでしょうか、伐採するということに、市民が猛反発。

マスコミも取材するほどの大きな問題となってしまいました。








そんな中、2月7日、国立市役所、3階会議室において、
「さくら通り改修事業に伴う街路樹についての意見交換会」が行われました。


出席者は50名くらいか、という我々の予想をはるかに超えて、120名(人数ははっきりわかりません)ほどの住民、業者、造園関係者などが訪れました。関心の高さが伺えます。

この日、さくらの街路樹のことで市長と市民とが公の場で顔を合わせるのは、ほとんど初めてのようで、とても緊迫した雰囲気が漂っていました。

市長の挨拶、工事担当者から工事の説明、担当樹木医のさくらの木の状況などの説明が細かく行われました。

その後、高田造園設計事務所、高田宏臣さんから、

「伐採予定の木(C判定)のさくらはまだまだ生きる力があるのではないか、」

「C判定だからこそ、手当をすべきではないか」

「街路樹の中の1本の木を伐採することによっても、風の流れや、直射日光の入り方が変わってしまうこと。そして、他の健全な樹木にも影響し、C判定の木を今後増やしてしまうこと」

「国分寺崖線など、もともとの土壌環境を把握しながら、土壌改善をしてあげないと、いくら新しいさくらに植え替えてもまた同じことになってしまうこと・・。」




この日、高田さんは現在の工事計画に変わる代替案をつくってきました。

高田さんの会社の図面はいつも竹内さんの手描き。

温かみのあるイメージパースです。













今回のさくら通りの工事の件で、重要な要望は歩道の凸凹を直して欲しいというもの。


現況の工事計画では、舗装を剥がし、サクラの根を切り、歩道を平らにするというもの。

しかし、根上がりしてしまったサクラの根を切ることは、サクラの樹勢を落とし、倒木の危険がさらに増していくということになります。

高田さんも根を傷つけずに歩道を平にするにはどうしたらよいのかを考えていました。

人々と樹木の両方が良くなる方法、共存できる方法はないのか?このサクラの問題はここが論点になっています。

そして導き出したプランが、

サクラの根の部分を流線型の吊り橋上にしていくというプラン。


土壌には、透水管を通し、サクラの根の下まで、空気と水が行き渡るようにする。

緩やかな傾斜のデッキを張り、雨水も土壌に浸透していく。




今までの街路樹の歩道や道路での常識を覆すプラン。

なんだかここを歩いてみたくなるような素晴らしいプランでした。


勾配がどのくらいあるのかとか、段差はないのか、コストの面、施工の面など細かいことをいうとキリがないのですが、これだけのプランを数日中のうちに仕上げ、この日来場者に配布しました。


70部用意したそうだが、とても足りなかったようでした・・。



高田さんも言っていましたが、これはたたき台として、さらに良いプランをみんなで考えていけば良いのではないか、と思います。


しかしながら、すでに工事は始まっている状況です。一度決めた工事計画を見直すということは、簡単なことではありません。

高田さんの後は、私が発言する機会に恵まれました。


長くなりそうなので、後編に続く・・。