筆者もアニ禁(アニメ禁止令)を発令して臨戦態勢です!笑
さて、今回で「ダン法」シリーズも最終回となります。
前回までのあらすじを話しますと、窃盗罪の構成要件該当性(「他人の財物」「不法領得の意思」「窃取」)を検討していたところ、不法領得の意思を認めるには、ベルくんが魔道書の効果について善意であることの証明が失敗したという前提が必要でありました。
しかし、かかる前提では「窃取」したと認定することができず、むしろ詐欺罪(246条1項)の構成要件に該当する(【追記】参照)ことになるのです!という話です(笑)
うーん、実は筆者がこの問題を取り上げたのは、"被害者の承諾"による違法性阻却を考える際、「被害者」とは占有者(女主人)なのか、所有者(客)なのかという問題意識を提示したかったからだったのですが、詐欺罪だとこれが問題とならないのですよね...。
まぁ、気を取り直して、この問題を締めくくりに行きたいと思います!
(4) 責任阻却事由
この点、甲(ベルくん)が刑事未成年(41条)であるか明らかでないところ、14歳未満の場合は責任が阻却されます。
2. 乙(シル)の罪責
シルの罪責を考えるには、まず、シルが魔道書の効果を知っていることを前提に、ベルくんがかかる効果を知っていたか否かによってそれぞれ場合分けする必要があります。
(1) ベルくんが魔道書の効果を知っていた場合
この場合、シルのベルくんに対するそそのかし行為について、詐欺罪の教唆犯(61条1項)が成立するかが問題となります。
この点、教唆犯の成立には、一定の犯罪を実行する決意を正犯者に生じさせることが必要となります。
本件では、ベルくんはシルのそそのかしを契機として詐欺罪の犯意を形成し、実行に至ったといえます。
よって、かかる場合には、シルに詐欺罪の教唆犯が成立するといって良いでしょう。
(2) ベルくんが魔道書の効果を知らなかった場合
この場合には、シルはベルくんを一方的に支配利用して詐欺罪を遂げようとしていると考えうるため、詐欺罪の間接正犯が成立しうるかについて考える必要があります。そこで、間接正犯の実行行為性が問題となりますね。
この点、実行行為とは、特定の構成要件に該当する法益侵害の現実的危険性を有する行為をさします。
とすれば、他人の行為を利用することによっても法益侵害は可能といえますので、間接正犯の実行行為性は認められることになるでしょう。
具体的には、①自己の犯罪として行う意思があり(正犯意思)、②他人の行為を自己の行為として一方的に支配利用しているといえれば、間接正犯の実行行為性は認められると解されます(いわゆる道具理論に立つ見解もありますが、結論は実質変わりません)。
本件において、①シルの意思としては、おそらくベルくんに呪文を覚えさせるため、すなわち、第三者に利益を得させるために当該行為を行っているといえます。これと、シルがベルくんに好意を寄せている事実を合わせて評価すると、シルはベルくんのため、自ら犯罪を犯す意思で行動していたものといえるでしょう。
また、②シルがベルくんに指示した内容は魔道書を借りて読むという単純な行為であり、シルの支配が及びやすい点及び、ベルくんにとってシルは"先輩"に近い存在であり、一方的な支配利用関係が築かれるのは容易い点に鑑みれば、一方的支配利用関係も認められなくもないと思います。
なぜ「認められなくもない」という表現なのかについて説明すると、本件ではベルくんは意思に瑕疵はあるものの、あくまで自己の利益を得る目的で魔道書を借り、その恩恵を受けているわけですから、一方的に支配利用していた、とは言いにくいからです。
以上より、かかる場合、シルに詐欺罪の間接正犯が成立しうるといえます。
3. 結論
以上より、魔道書の効果についてベルくんやシルが知っていたか否かによって、犯罪の成否が左右されることが分かりました!
なお、検討することは省きましたが、ベルくんが刑事未成年であるのに対して、シルが魔道書の効果を知っている場合には、制限従属性説に立って論証を進めていくことになります。
結論としては、ベルくん、シルに犯罪が成立しうるという極めて残念な結果となってしまいました(もっとも、犯罪を認めるためにだいぶ無理な仮定をしてますが)。
アニメを見ている方は分かると思うのですが、本当はヘスティアの罪責も論じたかったです笑
まぁ、ヘスティアは神様なのでそもそも刑法が適用されないということにしておきましょう。。
これにて事件File#01「ダン法」シリーズは終了です!
次回は「サトシの違法性を阻却せよ!」(仮題)をテーマに、書いていきたいと思います!
サトシはポケモンのサトシです。
では、またお会いしましょう!!
良い1日を!!!