帝王切開と輸血 | 置かれた場所で咲くんやで!元JW2世の前向き備忘録

私は子供4人を帝王切開で産んでいる。


1人目と2人目の時は予定帝王切開ではなくて、

突然に決まった手術だった。

3人目は予定していたものの、先に陣痛が来てしまい、やはり緊急での手術となった。(お陰で執刀医はベテランのはずだったのに新人になりました…)

予定通り手術で産まれてきたのは4人目だけ。


陣痛も、手術後の痛みも、もう覚えていたくないレベルなので、産前産後の事は結構頭から飛んでしまっているのだけど、


手術となると、手続きが色々必要になる。




保険が下りるようになるのがひとつ。


入院期間も伸びるし、

弾性ストッキングとか、術着とか、帝王切開専用の腹帯とか、色々揃えないといけないものもある。

お陰で旦那はドタバタで大変だったと思う…。


それに付け加えて、


輸血の同意書も書かされる。


現実に輸血になった事はないけど、毎回必ず書く必要がある。



もう今や自動的に署名しているけど、

最初に署名する時はドキドキした。

まだJWを辞めて日が浅かったし、

1人目の時はうちの実家も(JW的に)だいぶ緩んでて、里帰り(車で30分の距離やけど)させてもらうことになっていて、

陣痛来た時にも病院まで送ってもらっていたので、

旦那がサインしてくれなければ両親にサインしてもらわないといけないところだったりして。


結局、旦那が間に合って事なきを得たのだけども。





でも、


数は少なかったとは言え、

JW内で結婚して子供を授かった人もいるわけで。


そんなご家庭は、

帝王切開になった時にどう言う展開になったのだろう。


突然、我が子と自分の命と信仰を天秤にかけないといけない事態になるわけで。


今まで思い至らなかったのが不思議だけど、

まさか私も自分が帝王切開になるなんて思いもつかなかったのだ。


きっと、ものすごく大変で、複雑で、我が子の誕生を純粋に楽しみにして喜ぶこともできない事態になったんじゃないかな、と、

そう思うのだ。




血圧が下がって意識が切れたり戻ったりしていたので、

帝王切開中に脳内をよぎった事は正直あまり覚えていない。


ただ、

無事に子供が産まれて、

ほんの少し、胸に置いてもらって、

旦那が子供を抱っこした、その瞬間をなんとなく覚えている気はするけど、

あとは朦朧としていた気がする。



でも、

少なくとも、

信仰と我が子の安全を天秤にかける必要はなかった。

ただでさえ大変な産後に、そんなことまで背負い込んでいたら、本当に大変だったと思う。




小さい頃から持たされていた輸血拒否のカード。

私には結局それを使う場面は訪れなかった。

(そもそも不真面目なのであまり持ち歩いてなかったけど)


でも、

もしそれを使う機会があったら。




両親はそれを考えた事はあるのだろうか。

娘の命と信仰を天秤にかけざるを得ない事態を。




私の両親は、きっと私よりすごく愛情深い。

今となればだけど、

好物を全部私に譲ってくれていたりだとか、

少ないお小遣いのほとんどを私に費やしてくれていたりだとか、

いじめられたと聞けば学校や相手の親に連絡を取って抗議してくれたりだとか、

寝る前に何十冊も本を読んでくれたりだとか。


今の私では到底叶わない愛情を注いでくれたと思っている。



でも、

いざとなれば、

娘の意思よりも神の意思を優先する覚悟があったと言うことだ。


私は両親が冷酷だったり、人としての情に欠ける人たちだと思った事はない。


むしろ、その逆だからこそ、

子供の最善だと信じているからこそ、

良かれと思って、

子供のために、

輸血を拒否してしまうのだと、

当時も今も気付いていた。


中には親としての情に欠けていて、自己実現と自己満足のためだけに熱心な信者の体を装っている親もいたと思う。

JWに来た人は、何かしら満たされない、一般には馴染めない何かを持った人が多いだろうから。


でも、うちの親に関しては、

その欠けていた部分は親としての愛情の部分ではなかったのだと思う。



きっと私が熱心なJWになっていたとしたら、

同じ気持ちで子供への輸血を拒んだのかもしれない。


今考えるとぞっとする。


そもそも、

輸血同意なしで緊急帝王切開をしてもらえる病院に行き当たるまでどれだけかかるのだろうか。


そうこうしているうちに、子宮破裂しちゃったり。

お腹の中の子供が亡くなってしまったり。

そう言うリスクがどんどん上がっていく。

実際にそうなったと言う話は今のところ聞いたことはないけど、

現在どうだったんだろうか。

危機一髪、と言う人もいたんじゃなかろうか。



我が家の可愛い子供たちが無事に何の心配もなく産まれてきてくれたのは、

ひとえに私がJWをやめたお陰だったなぁ、と。

ほんとにやめてよかったなぁ、と、


帝王切開で生まれた子供たち特有の、

まあるくて形のいい後頭部を眺めながら、

ほっと一息ついた。




無事に生まれてきてくれてありがとう。


(写真はめかぶ一気飲み中の娘。髪が薄いのを本能的に気にしているか海藻類をめちゃくちゃ好んで食べます)