公開前から何かとお騒がせで話題先行だった映画、
『先生の白い嘘』(2024年)
原作は鳥飼茜の同名コミックです。
監督:三木康一郎
脚本:安達奈緒子
出演:奈緒、猪狩蒼弥、三吉彩花、田辺桃子、風間俊介
奈緒演じる高校教師・美鈴は、"親友"の美奈子(三吉彩花)から、エリートサラリーマンの早藤(風間俊介)と婚約した事を告げられます。
しかし早藤は、美奈子と付き合いながら美鈴をレイプし、その後も呼び出しては関係を迫っているクズでした。
そんな中で、自分のクラスの生徒・猪狩蒼弥がバイト先で人妻と関係を持ってしまい、奈緒は彼をケアするうちについ本音を吐露、そして猪狩は奈緒に惹かれてゆき....
ポスターの宣伝コピーは、
"その感情は、あなたの中にもきっとある。男女の性の不条理に切り込む衝撃作"
公開に先駆けて、三木康一郎監督のインタビューが某メディアに掲載されたんですが、その中で三木監督は、作品内の性愛シーンの撮影に関して奈緒側がインティマシー・コーディネーターの起用を希望したが、それを拒否したと明かしました。
インティマシー・コーディネーターとは、ヌードやベッドシーンの撮影時に、現場で女優本人が望まない行為が行われないように第三者として調整するという役割。
例えば、「ベッドシーンは演るけどバストトップは見せません」という同意があったにも関わらず、現場で監督が「みんなお前を待ってんだよ! 早く脱げよ!」なんていう昭和な撮影はもうアウトですよ、という監視役のような人。
令和の今は、女優の精神のケアも担うこのインティマシー・コーディネーターが現場に入るのはごく自然。
それを拒否しました!
これが拡散されてしまって炎上。
公開初日の舞台挨拶では、プロデューサーと監督がいきなり謝罪するという異例な事になって。
そして、公式サイトのストーリー紹介で、美鈴(奈緒)と早藤(風間俊介)の関係について、
「早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴」
と書かれていたのが、公開翌日には「快楽に溺れ」の文言が削除されています。
おまけに、この作品のパンフレットが「一部に不都合ありました」で回収されて。
原作がマンガなので、マンガ読まない私は元ネタがどんな作品なのかわからないのですが、様々な声を総体的に読み解きますと、この公式サイトで紹介されていたニュアンスとはかなり違うようです。
原作は、性被害に遭ったという事実、その加害者に従わざるを得ない現実から逃れる為に、自分も望んでいるかのように思い込もうとし、それによってかろうじて精神を保っている心理状態。
一種の「逃避」
これを「快楽に溺れ」と、「被害者も楽しんでいた」みたいにやってしまうと、それはAVですやん。
原作者は女性で脚本も女性、監督だけ男だからこうなる?
監督なら、映画化にあたって原作は読み込んでるはずなんですが、「女にも性欲はあるが、それは男にとって都合の良いようには出来ていない」がわかってない。
炎上したのは原作を知ってる人たちが、「そういう話じゃないぞ」と批判したからでしょう。
あ、
肝心の映画は、
感情移入できる人物が一人もいなくて....
風間俊介って、クズ男を演らせたら上手いなぁ、
三吉彩花って、デカい女だなぁ、
ぐらいかな(笑)
ちなみに、
炎上のおかげで注目される事になってしまった奈緒の濡れ場は、そんなに過激なものでもないです。