5月4日は寺山修司が亡くなった日です。
没後40年にあたる昨年・2023年は寺山修司関連の様々なイベントが行われていました。
寺山修司の影響は様々なところに受け継がれ、「これって寺山だよなぁ」的な遺伝子は気をつけて見ていればそこらじゅうに転がってます。
令和の今となっては、寺山修司と聞いても「誰?」と反応する人が多くなりましたが(無知無教養だと思います)、亡くなって間もない80年代は、それこそ寺山修司を直に見て体験した人たちが作品を世に送り出していまして、あっ、ここにもテラヤマワールドが!は珍しくもなかったんです。
その、「えっ? ここにもテラヤマワールドが!」の1つがコレ。
何とAV=アダルトビデオ。
発売は1986年、芳友舎 ※現h.m.p.
アダルトビデオなんですよ。
でもね、不気味シュールな雰囲気が終始満ち溢れていまして、どうやってコレでハァハァするのか?とかなり疑問です。
出演は中沢慶子という女優さんでした。
寺山修司と同じ東北の出身。
冒頭、真っ暗な画面から囁くような声で、
「お兄ちゃん.... お兄ちゃん....」
早くも怖い....
そしてこのシーン。
意味わかりません!(褒めてます一応)
『田園に死す』ですやんコレ(笑)
こんなスモーク焚くシーン、AVに必要?(笑)
この頃のAVというのは、オッサン世代には懐かしい『宇宙企画』というレーベルを中心とした "美少女路線" が最盛期で、前半イメージカット、後半にソフトな絡み、というのがパターンでした。
オープニングからこんな不気味なのは他に見た事がない....
犬神佐清が歩いて来そうな(笑)
どうやらこの大きな柱時計が物語の重要なキーになっているようです。
この作品も、絡みは1回だけ。
かなりソフト。
モザイクが腰周り全部にかけられていて、見たい部分(すいません)は何も見えませんし。
その代わりに意味不明なワールドが全開。
AVというのは出演女優で選ばれる事が多く、監督で選んで見る人なんておそらく皆無だと思いますが、この作品の監督である豊田薫氏、調べてみると初期の作品ははっきり寺山修司を意識した作風だったようです。
でも、この業界には余計な事だったかもしれません。
階段の踊り場で大きな柱時計が燃えるシーンで唐突にこの作品は終わります。
何.... だったんでしょう、ここまでの40分間は。
何を表現しようとしたのか、わかりませんでした。
単なる模倣の自己満なのか、何かあるのか、それもわかりません。
AVに無理やり芸術(らしきモノ)を持ち込む是非も、私にはよくわかりません。
でもね、
「これは名作だ!」と感動するAVも中にはあるんですよ。いやマジで。