アルバート・アイラーの1964年6月14日 ニューヨーク・セラー・カフェでのライブ。
『Prophecy』
日付を聞いてピンと来た方はジャズにお詳しい方ですね。
そう、アイラーの名盤『Spiritual Unity』の約1カ月前です。
録音メンバーも同じで、タイトル曲以外はカブってます。
が、"ジャズに名盤なし、名演奏あり" と言われるように、この『Prophecy』も名演なのです。
あるギタリストによると、「アイリーに比べればコルトレーンなんて歌謡曲だ」
60年代半ばにスランプに陥っていたジョン・コルトレーンに決定的なインパクトを与え、フリージャズに導いたのがアルバート・アイラーでした。
ジャズ界に突然現れたこの人の音楽は....
グチャグチャです(笑)
麿赤兒が歌舞伎をやったようなモン?
ただの破壊者か?
とも聴こえますが、ベースはブルースやR&Bなどのブラックミュージック。
それをデフォルメして独特な音に仕上げ、「グチャグチャやん!」と思ってるといつの間にか基本に戻ってたりします。
この展開に圧倒され、感動すら覚えるのがアルバート・アイラー。
わけわからん!(マイルス・デイビスに言わせると、フリージャズは観客無視なのでダメだ、らしいですが)
しかしこういう音楽は、良き理解者が周りを固めると最強の力を発揮します。
ゲイリー・ピーコック(b)
サニー・マレイ(ds)
アルバート・アイラー(ts)
超攻撃的トリオ。
アイラーが嬉々としてテナーを吹きまくる図が浮かびます。
そのアルバート・アイラー、1970年にイースト・リバーで変死体となって発見されました。
殺されたという噂が広まりましたが、自殺とみられています。
斬新・革新的な破壊者は70年代を生きませんでした。