"男は、男であった。 女は、女であった"
というのが宣伝コピーだったと思います。
高倉健と吉永小百合の初共演作。
『動乱』(1980年/東映)
監督:森谷司郎
脚本:山田信夫
出演:高倉健、吉永小百合、米倉斉加年、田村高廣、永島敏行、佐藤慶、田中邦衛
5.15事件から2.26事件までの激動の時代を描き、
第一部「海峡を渡る愛」
第二部「雪降り止まず」
の二部構成になっています。
昭和7年、日本軍の仙台連隊を率いる大尉・高倉健の舞台から1人の初年兵が脱走します。
吉永小百合演じる姉が貧困の為に1,000円で女郎屋に売られようとしているのがその理由で、彼は捜索隊の上官をはずみで殺してしまいました。
健さんは軍法会議で弁護を申し出ますが却下され、この若い兵は銃殺刑。
健さんは黙って香典として1,000円を吉永小百合に手渡します。
そして健さんは、脱走兵を出した責任を問われて朝鮮半島へ異動を命じられ、そこで芸者となって働いている吉永小百合と偶然に再会....
芸者と言いましても当地の芸者はすなわち娼婦です。
健さんは吉永小百合を身請けして一緒に暮らし始めます。
時代は5.15事件が失敗に終わり、2.26事件へ進みます。
寡黙な青年将校とその妻の愛を描いた二部構成の大作!
ではありますが、2.26事件の青年将校と言うには健さんは中年で(笑)無理がありますし、吉永小百合は吉永小百合で、貧困の為に売られてゆく無垢な女.... の設定にも無理があります。
どちらかと言うと『昭和残俠伝』や『仁義なき戦い』に近い雰囲気。
史実がどうだったとか考えながら観る映画ではありません。
スター高倉健とスター吉永小百合の共演を単純に楽しむ作品。
そう思って観れば、なかなかに面白いのです。
一緒に暮らしていて形上は夫婦なのに指一本、触れようとしない健さんに対して、
「私の身体は汚れているから抱いてくれないんですか!」と感情を爆発させる吉永小百合。
この相手はあの寡黙な高倉健でないと成り立たない。
スター映画の見本のような作品。