売れまくっているそうです。
『安倍晋三回顧録』
2020年〜2021年に行われたインタビューを文字にしたもの。
回顧録というタイトルですが、半生記のような壮大なものではなく、在任中の個別の案件について「あの時はね...」と振り返って裏話を披露している、そんな内容です。
しかし、実に生々しいのです。
書店に相当な数が並んでる政治家の回顧録的な本、そのほとんどは没後かなり経過してから書かれたもので、当事者はもちろん、登場人物もすでに故人であるケースばかりなのですね。
つまり、言葉は悪いですが「死人に口ナシ」
"偉人伝" や "ドヤ伝" でしかないのはその為。
在任中に本を出す政治家も少なくありません。
岸田首相もそうですし。
この『安倍晋三回顧録』はそうではありません。
インタビュアーであり編者でもある読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏は、「偉人伝にしたくなかったから早く出したかった」
実際、ご本人・安倍晋三氏からは一旦ストップがかかったそうです。
それが細田派を引き継いだ頃。
実名で出て来る現役の政治家ばかりで、これから派閥の領袖として内外をまとめてゆくのにこれはマズいと。
そしてあの悲劇....
昭恵夫人からようやくOKが出て出版という運びになったとか。
私的には、
このブログで何度も書いてますように、安倍晋三という政治家に関しては、私は一定の評価をしています。
あくまでも一定の、ですからね。
決して信者ではありません。
その上でこれを読むと、驚く事ばかりです。
この本は、アンチ安倍の人こそ読んでみるべき。
政権時はその政策に対しての議論などは一切なく、安倍晋三の悪口を言う奴 vs 安倍晋三の悪口を言う奴の悪口を言う奴、の不毛な戦いが繰り広げられるばかりでした。
安倍晋三をとにかく全面支持!
安倍晋三の言う事やる事は何であっても全否定!
こんな時代が何年も。
だから、改めてあの安倍晋三という人は何を考えていたのか....? を知るには良いテキストです。
人間本位で物事を見ると必ず誤ります。
「安倍だけは許さん」は思考停止。
「安倍ちゃんマンセー!」も思考停止。
そもそも100点の政治や0点の政治があるわけないのに、安倍晋三という政治家に関してはゼロか百、全否定か全肯定の議論しかない不思議....
読んだ上で、安倍晋三という政治家の評価が変わるか変わらないか、それはその人次第です。
私は読後も好きにはなれませんでした。
しかし、日本にとってこの政治家を失ったのは取り返しがつかない巨大な損失。
それだけはわかりました。