『吸血蛾』 | 5番の日記~日々好日編~

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あの中川信夫監督が、横溝正史の金田一モノの中でも猟奇色の濃い作品を映画化。


『吸血蛾』(1956年/東宝)

監督:中川信夫

脚本:小国英雄、西島 大

出演:池部 良、久慈あさみ、安西郷子、有島一郎、東野英治郎、小堀明男


名探偵・金田一耕助を演じた俳優はたくさんいますが、おそらく池部良が演じたこの作品の金田一が一番イケメン(笑)



横溝正史作品は、『悪魔の手毬唄』や『獄門島』『八つ墓村』のような閉ざされた山村を舞台にした "因習" に囚われた悲劇を描いたものと、『悪魔が来りて笛を吹く』『幽霊男』のように都会を舞台にしたものに分かれますが、この『吸血蛾』は後者。



主役は久慈あさみ演じるおフランス帰りの一流ファッションデザイナーです。


実は彼女にはフランス時代に付き合っていた元カレがいたんですが、その彼は "狼憑き" という、発作が起きると狼のように牙を剥いて暴れる奇病にかかっていました。


久慈あさみはそんな彼に愛想を尽かして帰国、ついでに彼のアイデアだった作品を自分のものとして発表し、喝采を浴びます。


そんなある日、全身灰色でまるで狼のような歯をもった不気味な男が久慈あさみの事務所に現れ、箱を置いて立ち去ります。

箱を開けてみると、中には歯形のついたリンゴが...



そして、彼女の専属モデルたちが次々に殺されてゆく..... という話。



華やかなファッション業界と金田一耕助って、

ミスマッチにもほどがあるんですが、何せ池部良ですから、

スーツ姿で登場します。



しかし....

結局、何もしないままに殺人が重ねられ、あまり存在感はナシ。


ついでに、

タイトルの『吸血蛾』は無理やりすぎ(笑)




こちらは原作の文庫本の表紙になった杉本一文氏の手による『吸血蛾』


最初に書きました通り、原作は横溝正史作品の中でもかなり猟奇色が強い部類です。

早い話が、グロい。



専属モデルの死体が入った箱が事務所に届くんですが、死体の乳房はえぐり取られていて、血溜まりの中に蛾が泳いでいる....  そんな殺され方で。



名探偵・金田一耕助は映画以上に何もしません。

まぁ、この作品だけではなくて、金田一耕助って殺人を未然に防いだ事はないのですよね。

見立て殺人で予告されてるにも関わらず、「次は●●さんが狙われている、危ない!」と言いながらみすみす殺されてるのが常。



全て終わってから「犯人はあなたですね?」と言われましても(笑)



この作品の犯人はかなり意外です。

ミステリーとしては大成功。



それでもタイトルの『吸血蛾』はちょっと....