佐竹本 三十六歌仙絵と王朝の美。 | 5番の日記~日々好日編~

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よってテーマは剛柔バラバラです。

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平安時代に藤原公任という偉いさんが、36人の優れた和歌の詠み人を選び、それを「三十六歌仙」と呼んでいますが、鎌倉時代にその36人…柿本人麻呂、小野小町、在原業平などの肖像画が二巻の絵巻物として描かれました。

旧秋田藩主・佐竹侯爵家に『佐竹本 三十六歌仙絵』として代々伝わっていたその絵巻物、
大正になって佐竹さんはカネに困ったのか、この絵巻物を売りに出します。
しかし、あまりに高価だった為に買い手がつかず、海外への流出が危ぶまれました。


その時、当時の経済界の中心人物で美術界の重鎮でもあった益田孝氏が、「コレ、バラバラにして1人ずつ売ったらいいんじゃね?」と提案、財界や茶人らも「それはナイスだ♪」と賛同し、一歌仙ずつ切り刻んでバラ売りされる事になりました。


集まった購入希望者たち。
誰が誰の絵を買うかは、くじ引きで決められたそうですが、人気があったのは歌人界では別格のスーパースター・柿本人麻呂。
そして、小野小町や斎宮女御などの十二単をまとったお姉さんの絵で、逆に不人気だったのはボウズ(僧侶)

しかし、くじ引きの結果、“言い出しっぺ”の益田氏がよりによってボウズを引き当ててしまってブンむくれ(笑)
お姉さんを引いた人が気を遣って譲ってあげたそうです。



この展示会では、100年前にそうやってバラバラになった37枚の絵(三十六歌仙プラス住吉大明神図)のうち、31枚が展示されています。


キャッチコピーは、
“もう、会えないと思っていた”

このコピーは上手いですね。