クリーンルームから一般病棟へ。
一般病棟は4人部屋。
血液内科関係の病気の人ばかりではなく、
いろんな病気の人が同室となる。
私は9カ月の長期の入院生活だったけれど
大体、他の人は検査入院だと一週間弱、
ポリープの切除だと短い人で一日とか。
だから、同室の患者さんの結構入れ替わりが激しい。
私はこの病気(MDS)になるまで
大きな病気や怪我をしたことがなかったので
「ポリープの切除」だなんて聞いたら、
「わー体にメスを入れるなんて考えただけで痛そうだし、さぞ大変でしょうに…」
って思うのだが、案外、皆早くに元気で退院して行くことに驚いている。
ある時期、ポリープの手術を控えている女性が同室になった。
同じ部屋になると、看護師さんや先生方が点滴の内容とか、飲んでいる薬を話しているのが聞こえてくるので
「あー、この人は糖尿病なんだな」とか
「この人は私と同じ病気かな」とか
病名を聞かなくても何となく分かったりするものだが、今回同室になった彼女はポリープの手術なのに免疫抑制剤を服用していた。
明るくて気さくな方だったので、仕事のこととか、おいしいパン屋さんの話とか、いろいろと話しをするようになり、なぜ免疫抑制剤を飲んでいるの…?と聞くと、なんと彼女は十数年前に臓器移植を受けたのだという。だから生きているだけでもうけもんだ、と話してくれた。それに加えて「自分がこの病室で一番元気だから、手伝えることがあったら何でも言ってね」とまで言ってくれたのだった。
彼女から臓器移植を待っていた時のことや移植後の拒絶反応の話は聞かなかったけれど、
きっと大変な時期を乗り越えられてきたのだと思う。
移植にもいろいろあるけれど
彼女が移植を受けた先輩の姿として、素直にすごいなと思ったし、輝いて見えた
確かに移植後は副作用や合併症の可能性があったり再発の不安はあるけれど、
今、少しでも元気で暮らせているなら、
彼女の言うとおり「もうけもん」なのだと改めて思う。
病気は違っても、いろんな人から
人生の勉強をさせてもらっている。