原状回復ガイドラインを読み直す | 中国地方の大家の不動産賃貸業日誌

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原状回復ガイドラインは勉強会でも開いてみんなで読み合わせしたいくらいの内容ですが

 

そんな真面目な勉強会に来る人もいないであろうと思い、仕方なく記事にします。

 

読んだことのない人もある人も、令和5年に参考資料というものが新たに出てたりするので、

 

これを機に読んでみてください。

 

 

 

 

賃貸住宅って、

 

退去する時は、敷金取り返さないと負けみたいな感じで借主がすごい剣幕で言ってくることが多くて、

 

それならもう最初から敷金は全額もらっておいて、明らかな破損があれば追加で支払ってもらうみたいな方が私は平和になるんじゃないかと思いますが、

 

賃貸住宅の需給の関係で、どうしても借主有利になってしまうので、そういうことはできそうもありません。

 

この先ずっと貸主と借主との間で埋まらない溝を争っていくものと思われます。

 

借主の見方である裁判官は、設備の通常損耗に関しては家賃に含まれているという認識のようなので、

 

 

「いやそれなら家賃もっと上げないと割に合わないよ」

 

 

と思うのですが、

 

市井に疎い裁判官たちは、東京の家賃7~8万円台のアパートと、地方郊外の家賃1万円台のアパートとで、

 

同じような考え方をしているようです。

 

 

 

私は、退去時に減価償却分は貸主負担とするなら、その分家賃を上げるべきだと思います。

 

共益費のような形で、家賃の数%を別で徴収すべきで、これを減価償却分として充てるべきです。

 

そして「敷金」は、「退去時修繕・クリーニング費用」等の名目で、預り金として予め受領し、

 

退去時に収入計上する(入居時でもよいけど)。

 

借主には退去時に請求しない。ただし明らかな破汚損は借主負担かつ保険対応。

 

 

 

こんな感じの方が良いと思うんですよね。

 

これでお互いに「今までありがとうございました。」ってスッキリ終われると思うんです。

 

借主は費用が多少増えますが、退去時は基本的に追加費用は発生しないと考える方が楽でしょう?

 

事務も減るし、トラブルも減ると思います。

 

 

 

 

お互いにクロスや床の減価償却のグラフを見せられてですよ、

 

↓ こんなの

 

 

すごい細かく計算してですよ、

 

「この部分は〇㎡で、単価が〇円で、入居年数が〇年で、交換してから〇年で、だから今は〇%で、計算したら〇円です。」

 

みたいなことを1か所ずつやる気になります?実際あまりやってないですよね。

 

 

 

普通だったらですよ、

 

「明らかな過失ですけど借主貸主折半でどうですか?」

 

みたいなところに落ち着くじゃないですか。普通。

 

だからガイドラインの細かい規定は逆に現場の混乱を招くと思うんですよ。

 

 

 

私がなんと言おうが、この世界はやっぱり借主・貸主が争う世の中で落ち着くことになっていると思うので、

 

とにかくみなさんに覚えておいていただきたいのは、

 

耐用年数がすべて経過してるからと言って、借主負担は0にはならないということです。

 

 

 

不動産屋・管理会社の人もガイドラインあまり読んでいないと思うので、

 

長期入居の場合は全額貸主負担で修繕させようとしてきますが、

 

何年住んでいようが、綺麗に住んでいれば部屋は綺麗なままなので、

 

双方が争う世の中では、やはり請求すべきところは請求すべきです。

 

 

で、今日の本題はこちら。

 

 

なお、経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を 払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であ っても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。 具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場 合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった 場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものである。

(「原状回復ガイドライン」より抜粋)

 

 

以上はガイドラインからの抜粋した部分ですが、

 

耐用年数が経過したからって、借主負担は0にはならないよということです。

 

落書きを消せればいいですけど、消せないかもしれない。傷や穴をあけた部分などもありますよね。

 

クロスを交換しないといけない。

 

クロスを貼り換えた場合に、材料は価値0から100になるのでその部分は貸主負担で良いと思いますが、

 

貼り換えざるをない状況を作ったのは借主なので、材料以外の工事費の部分は借主が負担すべきとの見解だと思います。

 

ここについては恐らく裁判で争ったことがないと思いますが、

 

かなり前に投資家のペンタさんが国交省に電話をして、この部分について確認を取っていたので、

 

その時から私は契約書に材料費と人件費の費用を分けて記載するようにしています。

 

とにかく、人件費については借主に負担していただくという認識は必要だと思います。

 

ここで争いが起こった場合には、全大家のため、是非裁判で判例を作っていただきたいと思います。

 

 

 

 

借主貸主を争わせようとする世の中だし、裁判官も管理会社もめんどくさいから借主の味方だし、

 

貸主のみなさんは心とお金に余裕をもって、おおらかな気持ちで退去清算を行っていただければと思います。

 

私からの報告は以上です。