電流による発熱量の計算地図をつくってみた。 | 中学理科教師のつぶやき

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中学校理科教師として25年。ひとつの意見として、ここに私の日々考えたことを記録していきます。同業の方、現役生徒、現役親御さんとのネットでの交流もできるといいですね。

3月に入り

春の匂いがしてきましたね。

 

中学2年生「電流」の一番面倒くさいところ

電流による発熱量を求める問題。

 

100gで20℃の水に

14Ωの電熱線を入れて14Vの電圧をかけたとき

5分後の水の温度は何℃になるか。

ただし、電熱線で発生した熱は

全て水の温度上昇に使われるものとする。

   ※2017.4.16みっつーさんのコメントによる指摘で

     「14Ωの電熱線を入れて7Vの電圧…」を訂正しました。

 

とかっていう問題。

 

電流による発熱量(J)を求めるのは

Q=Pt=VIt

単純にかけ算していけばいいので

公式さえ覚えておけば

あんまり難しくありませんが

 

実際やってみると

まず、電流を求めるのに

電圧と抵抗からオームの法則を使わなくちゃいかん。

 

それから

 

水の上昇温度を求めるために

発熱量の単位を

ジュールからカロリーに

変換しなくちゃいかん。

 

さらに

 

発熱量(cal)と水の質量から

温度変化を求めるQ=mTcの公式を

使わなくちゃならん。

 

 

越えなければならない壁が

2重、3重にあるので

中学生は途中でこんがらがっちゃいます。

 

発熱量の計算迷路にはまり込んで

最初に何を求めるつもりだったのかすら

忘れちゃう。

 

たいていの中学生は白目をむくか

気絶してしまいます。

 

そこで

 

発熱量がらみの

電圧、電流はもちろん温度変化や

水の質量まで求めることができる

計算のための地図をつくってみました。

 

 

黒板に、これをてけてけ板書してから

発熱量の問題に取り組ませてみましたの。

 

Q=mTcのcは比熱で

水の場合は1なので

気にしなくてええ。などという解説をしてね。

 

使い方は、簡単。

 

問題文を読みながら

問題の中にある数値を適するところに

メモしていきます。

 

単位に注意しながらね。

 

最後に何を求めるのかを問題で確認して、

地図上の当てはまる項目を丸で囲んで

忘れないようにしておきます。

 

地図全体にメモをとる作業が終わったら

二重枠で囲まれている公式をたどっていくと

求める値の計算方法がわかるというもの。

 

なーんちゃって

簡単といいつつ

理科とか数学とかが得意な生徒にしか

わかんないだろうなーと思いながら

授業をしてみましたの。

 

ところがね。

意外と盛り上がりました。

 

理数が得意な生徒は

それぞれの公式の関係が

一目瞭然となり

視覚的にたどっていくことで解答にたどり着くので

面白かったようです。

 

それだけでなく

 

理数の得意でない生徒も

この地図があると作業的に取り組むだけで

頭の良いヤツらと同じ解答にたどり着けるので

何かうれしくなっちゃって

頑張って問題に取り組んでいました。

 

要領を得た生徒は

ちんぷんかんぷんな生徒に

地図の使い方を解説しています。

 

解説された生徒も

視覚的に自分の計算の進捗状況がわかるので

安心して取り組み続けられるのでしょう。

 

教室のあちこちで

わいわいとああでもない、こうでもない

なんでなんで、ああそうかと

教え合いグループが自然に発生。

 

普段は、計算問題というと

白目気絶の中学生が

積極的に問題に取り組んでいます。

 

しかも、電流の発熱量を計算する問題で!

 

わかると誰かに説明したくなります。

でも、難しいのは自分の考えを他人に伝えること。

 

電流の発熱量計算の問題の解き方なんて

説明しているうちに自分でもわけわからなくなりますからね。

 

そんなときに、この計算地図が

自分と相手の共通言語としてはたらくのでしょう。

 

これをプラスチックの下敷きにして

生徒に配ろうかなって思いましたが

オリジナルの下敷きって高いのね。

 

 

企画倒れに終わりました。

 

最後に、さっきの問題の答えですが

30℃になります。

 

 

では。