地道に式を書かせる指導 ~対策と例外 | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

中学受験生が成績を伸ばすのに必要!と言われているものが、「丁寧さ」です。

算数なら、キチンと式を書いて、丁寧に筆算して答えを出すのが良いとされています。

式を書かずに、筆算だけぐちゃぐちゃでは、ミスが多くなります。

 

 

■4年の終わりから5年で厳しくなる

3年生4年生でしたら、式を書かなくても、筆算だけで何とか答えを出せる問題が多いです。

ところが、5年生に上がる頃になると、複雑な問題が増えます。

面倒な速さの問題だと、答が出るまで式が10個必要だったりします。

たとえば、2地点を往復する問題でしたら、数字がたくさん出てきます。

計算して出た数字が「速さなのか時間なのか」、速さなら「分速なのか時速なのか」「往きなのか帰りなのか」。

計算して出した直後は理解していても、時間かけて考えているうちに勘違いが多くなるのです。

少し頭の回転が速い生徒でも、5年の前半で、ミスが多くなってきます。

単位をつけて式を書くと、ミスは減ります。

(この問題でしたら「24分」を、「5分の3時間」に直した方が、慣れたらはやいですが)

 

 

■1回言うだけでは通じない

「式を書かないで筆算だけ」という生徒がいたら、当然書かせるようにします。

でも、「式をキチンと書こうね(^^)/」と言っただけで、書くようになる生徒は、まずいません。

どの塾でも、式をしっかり書こうと指導しているハズです。

まだ式を書いて粘る習慣がついていない生徒に、1回で伝わる訳がありません。

 

一言で通じたのを、1回だけ見たことがあります。

個別指導塾で、人見知りが激しい6年女子がいて、私が教えても常にふてくされ気味でした。

「15ページ開いてね」と指示しても、開いてもらえない時もありました。

ところが1日だけ、「優しいお姉さん」に代わってもらったら、ものすごく反応が良かったのです。

そこで私がその先生に「式をしっかり書こうねと言ってよ」とお願いしたら、すぐ書くようになったのです。

ものすごく親近感が合ったり、尊敬している人から言われたことは、1回ですぐ入ってくるのですが、こんなことは例外的です。

 

 

■説得力ある際に、繰り返す

何度も繰り返すとはいっても、毎日言ったら「うざい」と思われます。(まあそれでも良いのですが)

生徒の気持ちに、スッと浸透しやすい時に、繰り返すしかありません。

 

どんな時かというと、問題でミスした時です。

上りと下りの時間を逆にしてバツになるような「式をしっかり書いていれば防げたミス」をした時は、説得力が出ます。

「難しくて理解できない問題」は、仕方ないですが、つまらないミスは毎回のようにあると思います。

ここで勘違いしなければ、10点上がったのに~、もったいない、と言うのです。

叱るより、「あらもったいない」、「ミスなければ偏差値4アップ」と取らぬ狸の皮算用に付き合う(=本来ならお前は点が取れる)のもアリでしょうか。

テストでミスをした時など、説得力が出そうな時を狙って、繰り返し伝えるしかありません。

 

1回で直そうとすると、怒鳴りつけることになってしまいます。

生徒との距離が離れていく可能性がありますから、危険です。

「式を書かない」のは、勉強をなめてるのではなく、習慣がついていないからです。

場合によっては、「今から式を書く練習をします」と言って、問題を式を書きながら解く練習をしたこともあります。

 

式を書かせる際の注意点は、同時に「急いで解け」という指示をしてはならない点です。

慣れない式をキッチリと書くのには、時間がかかります。

テストを受ける際に、しつこく式を書けと言われたので、時間をかけて丁寧に式を書いたら、「何だ!後半は手をつけてないじゃないか。もっと急げよ」と叱るのは残酷です。指示に従ったから文句言われたことになり、不信感が増大します。

 

 

■例外的に式を書かせなかった時も

私は今まで塾でも家庭教師でも指導してきました。

9割以上の家庭教師先は、塾で週4~5日通って、週1回の家庭教師で入試に臨む形です。

「分からない問題を理解して点を取る」より、「分かっているけどミスをする問題でミスを半減させる」ほうが、点数は上がります。

ですから、「式を書いてミスを減らせ」という指導を貫いてきました。

 

ですが、今までに1回だけ、「式は書かなくてもよい」と方針転換?をした生徒がいました。

「往復をする途中で静水時の船の速さが変わる流水算」のような非常に複雑な問題を、ぐちゃぐちゃな筆算だけで、式を書かずに解いていたのです。

市川・東邦には合格できそうな結構成績が良かった生徒なのですが、あと一歩のところで止まってしまい、私が説明することになりました。

難しいというよりは、答えを出すまで非常に長い問題でしたが、式無しであと一歩のところまで解けたのは、むしろ関心してしまいました。

そこで、ホントに分かっているのか確認するために、尋ねました。

「下りで、速さが変わる前の速さは?」

すると汚い筆算の場所をパッと指差して、

「下りは分速270m。静水時なら分速240m」

と必要な数字がパッと取り出せるのです。

筆算が20個くらい書かれた、いわば「計算用紙」の、どこに何が書いてあるか把握できているのです。

他の問題でも、キレイな式はほとんど書かずに、ぐちゃぐちゃの筆算だけ。

それでも筆算で出た20個の数字の区別ができていたのです。

 

私は考えました。

式をほとんど書かずに、筆算だけでここまで解けるなら、無理して式を書けと家庭教師が指導する必要はないかな。

塾の指導もあって、その後はじわじわと成績が上がり、2月1日には御三家に合格できました。

 

■思うこと

家庭教師でも塾講師でも、キッチリと式を書かせるのが、本来の指導だと思います。

でも、生徒の理解度や性格、入試まで残された時期などによっては、

「式は無理して書かなくても良い」という例外的な方針で臨むのもアリだと思います。

特に入試まで間もない駆け込み受験では、原則を外れた指導が必要になってきます。

 

逆に言えば、多くの生徒には、キッチリ式を書く原則通りの指導が適切なのです。

 

 

 

 

 

 

 

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