走りました。
まるで夢の中のように足がもつれて上手く前に進むことができません。
傷ついた朱雀が地面に倒れておりました。
沖田が折れ曲がった刀を柄にして辛うじて倒れ込むのを堪えておりました。
その横を私は駆け抜けます。
外の光が私の視界を一瞬奪いました。
眩い景色の中を必死に妻を探します。
狼の咆哮。
何十という狼の勝ち誇ったような咆哮。
海の波しぶきが私を濡らします。
頬を伝う涙。
見渡しても妻も狼の群れも姿を消しておりました。
私はこの世界に独りぼっちになったのです。
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く限り共に歩むことを誓った相手(つま)は、もう、いないのです。
何かを叫び、私はその場に膝を折りました。
一方、洞窟内。
「ジジイ。どういうつもりだ。何を隠していやがる。なぜ狼たちは襲撃をやめたんだ。」
睥睨(へいげい)し、陸奥が大久保翁にそう尋ねました。
洞窟内は先ほどまでの騒がしさが嘘のように静まり返っておりました。
「見ろ。この狼たちのやせ細りようを。」
大久保翁はそう言って、狼たちの遺骸を指さします。
「餌となるゾンビを食い尽くして、この地にはもう食料がないのじゃ。こいつらはゾンビ以外のものを食うことができぬように創られておる。人間が生態系を維持するためにそうしたのじゃ。だからどんなに腹が空いても他に何も口にできぬ。そういう点ではこいつらは本来の肉食動物ではなく、ゾンビ専門の草食動物じゃな。」
弊衣破帽(