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第十六話 正装その六

「それがおなごの背丈とは」
「まあそうじゃな」
 それは森可成も頷くことだった。
「わしもそこまででかいおなごは見たことがない」
「やはり」
「甲斐の信玄殿は相当大きいと聞くがのう」
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「それは権六殿や慶次殿よりもですか」
「そうらしいな」
 織田家では慶次の他には柴田も大柄である。柴田はその大柄さと怪力もあり織田家きっての武勇の持ち主となっているのである。無論戦の指揮も得意である。
「どうやらな」
「甲斐の虎は化け物でござるか」
「少なくとも尋常な御仁ではないようだな」
 このことは間違いないというのであった。
「その大柄さだけではないからのう」
「戦も政も双方できる」
「それが武田信玄」
「しかと聞いておりまする」
「さて、その虎も見るべきじゃが」
 驚いた顔になる家臣達に告げてきたのはここでも平手であった。やはり彼こそが家臣達の手綱を締める者である。
「まずは蝮よ」
「義父殿ですな」
「殿の」
「手強いぞ」
 平手の言葉が強いものになった。
「わかっておるな」
「はい、それは」
「わかっているつもりです」
 若い者達からの言葉だった。
「大殿が遂に勝つことのできなかった相手ですし」
「あの大殿が」
「戦だけではないのじゃ」
 平手も道三とは戦場で何度も戦ってきた。だからこそわかっているのだ。
「あの蝮はのう」
「そうでござるからな」
 ここで柴田も苦い顔で言う。
「わしも何度命を落としかけたか」エルメス エコバッグ
「権六殿もでござるからな」
「だからこそ余計に厄介ですな」
「あの蝮だけは」
「そうじゃ。用心するようにな」
 彼も笑ってはいなかった。
「ここで暗殺ということも考えられるぞ」
「まさか・・・・・・とは言えませんな」
 丹羽は言いかけたところでその言葉を引っ込めた。
「どうにも」
「そうじゃな。相手は蝮じゃ」
 滝川もだった。丹羽の言葉に応えて言う。
「ここでわし等共々ということをしてきてもな」
「だからこそなのじゃよ」
 今度は佐久間の言葉だった。
「今寺の周りを兵達が囲んでおるな」
「はい、寺の中でも要所要所に詰めております」
「大勢の足軽達が」
「会見にしてはやけに連れて来る兵が多いと思いましたが」
「それでしたか」
「左様じゃ」
 その通りだと述べる佐久間だった。
「蝮じゃぞ。何をしてくるかわからぬ」
「用心には用心を」
「牛助殿はそう考えられて殿に進言されたのですか」
「いや、わしはそうしておらぬ」
 ところがだった。佐久間はそれはすぐに否定したのだった。
「全くな」
「では殿がですか」
「用心の為にですか」
「それがどうも用心の為ではないらしい」
 ここで言ってきたのは佐久間盛重だった。
「殿は見せる為と言われておったわ」
「見せる為とは」
「足軽達をですか」
「そうじゃ。見せる為とな」
 それでだというのである。