自分以外の世界へ関心が向くということ | 果実相兼

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パラレルワールドにいるもう一人の私へ

こんばんは、六花です。

最近、麻疹の話を聞きますね。

六花は職場で入職後何年かしてから抗体価を測定したら全く抗体が付いていませんでした。

1972年から2000年生まれの世代は一回接種なので今の社会人は抗体価が低い人も結構いるのではないかしらショボーン

私は、その後追加接種をして今は麻疹IgGが11ぐらいなのですができればもう少し抗体価が欲しいです…

マニュアルでは2回接種をしていれば追加は必要ないことになっているんだけど、やっぱりガックリ

この年で麻疹には罹りたくないもの。

 

 

さて、今日の本は登場人物の一人が麻疹―はしかに罹る物語です。

お勝手のあんシリーズの『あんとほうき星』柴田よしき著

舞台は幕末家定公の時代

紅屋から出奔したのち縁あって武家の養子となった勘平との再会、品川の町と桜と海を模したお花見のお弁当作成、開国に向けた幕府の動きと時代が変わることへのそこはかとないやすの不安、ころりやはしかの流行、とめ吉のはしか罹患、紅屋の若奥様と桔梗さんなどなど

盛りだくさんの一冊でした。

国が開いていくことへの市井の人々の不安を物語から感じ取れます。

 

やすが自分のことだけではなく周りに目が向くようになり、世間の動きや変化に不安になったりする一冊でもありました。

自分のことだけでなく世の中のことに目が向くようになるのが大人への第一歩。だから、政さんがやすにかける言葉も含めて、少女の成長物語としても秀逸です。

私は小学生の5年生~6年生の時に朝の回で当番の生徒が持ち回りでその日気になったニュースを発表するというのがあったので世間のニュースに関心を持つのは早い方だったと思う。高校の時にはその日の1ドルが何円かというのも見てくるように言われていたし。

自分ではそれが大人への一歩だとは思っていなかったけれど、世の中の仕組みや流れに目を向けるように先生たちに導かれていたのかもしれない。指導要綱に載っていたのかいなかったのかは分からないけれど。

 

やすは番頭さんからももう少し欲を持ちなさい、つまり今だけでなく将来を考えなさいと言われ少しずつ大人になっていく。

いつの間にかおやすも18歳になりました。

 

お勝手のあんシリーズは出てくる日々のお料理も色とりどりで工夫が凝らされていてとてもいいんだけど、おやすの成長物語としてもしっかり段階を踏んでいるところが好き。おやすが年上の後輩を指導しなくてはならなくなって苦戦することには、めっちゃ共感したし。

本家の赤毛のアンシリーズはもう最初の一冊以外はどんな話だったのかあまり覚えていないけれど、あれもアンの成長物語。

そう考えるとこれは定型の物語の一つの形ではあるけれど、柴田さんのお話の作り方、優しい目線で本当に素敵。

 

これは去年の6月に出た本なんだけど、初めて読んだ時にははしかのことよりもあまびえ様―コロナ禍の初期には可愛いあまびえ様の絵を漫画家の方々が描いていたよね―が出てきた方に注目して読んだことを再読して思い出した。でも、今読むとはしかに注目してしまう。“いのちさだめ”と言われたことや“七歳までは神のうち”と言われていた江戸時代の厳しさについて心を動かされる。

昭和平成令和を生きる私は周りで麻疹に罹った人がいたかどうかも覚えていないし―おたふくかぜと水疱瘡は覚えている―、今の病院に入職してからも麻疹の患者さんには会ったことはないけれど、江戸時代から昭和にかけては大変な病だったことに思いをはせる。

国の政策で接種が一回になったり二回になったりしているけれど、ワクチンがあるから私の周りでは見かけることはなくなったんだろうね。

ありがたいことです。

 

 

さて、この次の一冊ではおやすがお勝手女中から女料理人としての成長がいよいよ本格化しています。

お披露目の日も決まり、おやすは迷っている場合ではなくなります。

一方で、十草屋のお小夜さんにも重大な決断の時期がやってきます。

私はやすと小夜の友情関係がとても好きだから、辛い一冊でした。