翌年に劇団創立100周年を控えた99期生は、男役スターに現役生で先に退団が発表となった花組帆純まひろ、月組英かおと、雪組諏訪さき等がおり、退団者には星組の脇で渋い演技を見せた遥斗勇帆や退団後の言動が物議を醸した亜蓮冬馬等がいた。娘役では月組トップの美園さくらに現役生では月組彩みちる、雪組野々花ひまり、星組小桜ほのかが活躍中。その他在団中理由はよく分からなかったが。何かと名前を聞くことがあった桜良花嵐という生徒もいた。
1~2月月組「ベルサイユのばら‐オスカルとアンドレ編」は再びオスカルとアンドレ役に龍真咲と明日海りおがWキャストとなったが、アンドレ役には蘭寿とむと壮一帆も特出となった。尚、この時壮は雪組トップとじての出演となった。またこの公演では過去の「オス・アン編」と異なり、アントワネットは登場せずフェルゼン(紫門ゆりや)だけが登場することとなっていた。尚愛希れいかはロザリー役で出演し、明日海はこの公演後に花組へ組替えとなった。2~3月花組「オーシャンズ11」の再演では明日海は未だ間に合わず、前年に壮一帆の雪組組替えと朝夏まなとの宙組組替えに愛音羽麗の退団があったので専科から北翔海莉が特出し、更に望海風斗の位置づけを一気に持ち上げて三番手の役付けとなるテリー・ベネディクト役での登場となった。尚、ライナス役を芹香斗亜が演じて初のポスターメンバーとなった。
3~4月宙組「モンテクリスト伯/Amour de 99!!<99年の愛>」の「モンテ」は原作が19世紀の文豪アレクサンドル・デュマの有名な小説で、今まで何度となく翻案や引用、TV・ラジオドラマ化、アニメ漫画化、舞台化されてきた。過去宝塚でも瀬戸内美八主演による1979年星組公演「アンタレスの星」として上演されており、この時はデュマ自身が狂言回しとして登場した。「99!!」は100周年を目の前に、過去の名場面の再現を中心とした作品。4~5月雪組「ベルサイユのばら‐フェルゼン編」は、壮一帆フェルゼンに対して愛加あゆアントワネットは、二人とも紆余曲折を経てたどり着いた新トップコンビの披露公演となった。二番手となった早霧せいなはオスカルを凰稀かなめとWキャストで、三番手未涼亜希はアンドレを柚希礼音・龍真咲とTキャストで其々演じた。壮は予想外の早期退団だった3期下の音月桂のピンチヒッターのような形での登板となったが、個人的には音月の下での二番手だった早霧が未だ存在感に欠けた感じでそのままトップにするのはちょっとな…という気がしていたので、納得の人事だった。更に言えば水夏希の後焦って音月をトップに据えず、先ずはキャリア充分だった壮をトップにして音月にもう少し二番手修行をさせていたならば、もっと余裕を持って当たれたのではないかと当時は思ったものだった。
6~7月星組「ロミオとジュリエット」でいよいよ2010年梅田芸術劇場で初演した、柚希礼音・夢咲ねねによる大劇場での星組再演となった。研2の時に初演の“愛”役で注目を集めた礼真琴は、再びの“愛”とベンヴォーリオの二役を演じることとなり、新公で初主演を飾ることとなった。7~8月月組「ルパン/Fantastic Energy!」この公演から龍真咲が完全単独トップとなったが、二番手ポジションに星組から来た美弥るりかと宙組から来た凪七瑠海の89期生同期コンビが並び立つも、正式なW二番手という訳ではないようだった。所謂"番手ぼかし"というやつである。そしてその下に珠城りょうが来る布陣となった。8~9月7花組「愛と革命の詩/Mr. Swing!」から明日海りおが月組から組替えとなり、準トップという肩書がはずれて単純に蘭寿とむに次ぐ二番手となった。明日海と同期の望海風斗は三番手ということになったが、雪組に続いて花組でもまた差し替え人事発動の気配がしてきたのだった。
9~11月宙組「風と共に去りぬ」ではバトラー凰稀かなめに対してスカーレットⅠを朝夏まなとと七海ひろき、アシュレーを悠未ひろと朝夏、ルネを悠未と七海の夫々Wキャストとし、実咲凛音がメラニーで緒月遠麻がベルというキャストとなった。悠未がこれを持って退団となったが、残った緒月・朝夏の二番手グループに七海が肉薄してきた形となった。11~12月雪組「Shall we ダンス?/CONGRATULATIONS 宝塚!!」の「ダンス?」は周防正行監督のヒット映画の舞台化で、壮一帆演じる主人公ヘンリーが通うダンス教室の教師で、実質的ヒロインのエラ役に二番手早霧せいながオスカルに続いて再び女役、実咲凛音はヘンリーの妻のジョセリンとなった。尚、未涼亜希は全公演を通じて休演となり、彩凪翔が代役で公演が行われた。
バウホールでは5月月組「月雲の皇子」が珠城りょうのバウ初主演作となったが、演出家上田久美子のバウデビュー作でもあった。6月花組「フォーエバー・ガーシュイン」は芹香斗亜の初主演作、7~8月宙組「the WILD Meets the WILD -W.M.W.-」は蓮水ゆうやと七海ひろきのW主演作、8~9月雪組「春雷」は彩凪翔の初主演作と若手の初主演作が続いた。その後はニール・サイモンの傑作戯曲が10月専科「第二章」として専科の轟悠、絵真なおきと星組の夢咲ねね、早乙女わかば、以上の4人で上演された。三木章夫作・演出によるバウショーケース第1弾として12月花組「New Wave! -花-」が望海風斗、瀬戸かずや、芹香斗亜等若手メンバーで上演された。
その他ドラマシティ公演では1月宙組「逆転裁判3 検事マイルズ・エッジワース」が、悠未ひろ主演で上演された。2月雪組「ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌」が未涼亜希主演で上演されたが、初代ブラック・ジャックの安寿ミラは元花組の後輩である未涼が演じることを喜んでいたとか。3月星組「南太平洋」は専科の轟悠と妃海風のコンビで上演。また6月には前年渋谷に開場したばかりの東急シアターオーブにて、ゲームを原作とした花組「戦国BASARA-真田幸村編-」が上演されたが、ゲーム内容に基づいた衣装が派手派手しかった。
3月中日劇場星組「宝塚ジャポニズム〜序破急〜/怪盗楚留香(そりゅうこう)外伝 -花盗人(はなぬすびと)-/Etoile de TAKARAZUKA」は海外公演の試演として上演された後、4月に台湾にて初の歌劇団自主興行による海外公演として上演された。「楚留香」は中華圏で有名な武侠小説シリーズの舞台化。
6月にはTBSのTVドラマ「TAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか〜」に柚希、凰稀、龍、紅ゆずる、明日海の5人がゲスト出演。5人は宝塚スターでありながら怪盗団でも活躍中というお話で、柚希が当時未だ二番手だった紅と明日海を顎で使っているのが笑えた。
この年は雪組で壮一帆新トップが誕生したが、トップの退団は無かった。しかし、明日海りおの月組から花組への組み替えに伴う構造変化が発生した。またバウホールでの若手主体の公演も目立った。また星組の台湾公演も現地で大きな話題となった。尚、翌年の劇団創立100周年に先駆けて、宝塚音楽学校創立100周年(設立当初は宝塚唱歌隊)記念式典が7月17日大劇場にて開催された。