自分が聴いていたわけではないのですが、
昔「踊れ!ダンス天国」てなCDがあったように思いましたので、
ちとおやじギャグ的もじりでタイトルにしてみました。
結局のところは「第九 」、ベートーヴェン の交響曲第九番「合唱付き」を聴いてきたということで。
「第九を聴かないと年を越せないよ」とか
「師走と言ったら第九だよね」とかいう意識はちいともなく、
むしろ日本の師走は第九のバーゲン・セール状態で、
どうにも第九のイメージが安くなってしまっているような、
そんな気がしているのですね。
ですから、オーケストラ演奏会の年間会員で12月に第九がプログラミング
されていなければ、
むしろそのことを寿ぎたくなるようなところもあるわけです、個人的には。
されど、12月には決まって第九を演目としてるオケの会員に近年続けてなってるものですから、
何だか義務感でもって聴きに行くようなところさえ無きにしもあらず。
と、言いたい放題でありますが、こうしたことを改めて書き出すということは
何かしら「変化」が萌したというわけでありますね。
今回聴いた「第九」の面白いこと!面白いと言ってはベートーヴェンに失礼かもですが、
クラシック音楽の楽曲は指揮者が変われば演奏解釈も変わり、
曲には違った表情が…とは思いつつも、「こうも違うんだぁね」と改めて。
シルヴァン・カンブルラン指揮の読売日本交響楽団の演奏会でありました。
そもそもカンブルランはどちらかと言えば現代モノに妙を発揮するように思われるのでして、
そこから想像するにどえらくそら恐ろしい展開になるか、
そうでなくても何かしら凄いことをやってくれるなら面白いかもという
怖いもの聴きたさと期待感がないまぜになった心持ちではありました。
で、結果としてどうであったかと言いますれば、決して怖いことはなく(当然ですが)、
さほどに突飛というほどでもなく、それなのに面白い演奏であったなぁとつくづく。
全般的にやや早めのテンポでもってスピード感のあるところながら、
例えばプレトニヨフが田園の第一楽章でやってみせた高速ドライブの違和感といったものは全くない。
要するに、やや速めなのですね。
ですが、それに加えて拍の刻みと言いますか、かなり音の入りを明確にさせていたことで
ただのスピード感でなしに、思わぬ弾力感、つまりは弾んでる感があったのでありますよ。
これが第2楽章のスケルツォであれば、もともとが弾んでる曲ですからさもありなんで終わりますが、
普通は深淵な響きを醸すことで始まる第1楽章からして弾み気味。
「おや?」と思いつつ聴いてはいたものの、こういう第1楽章の後に件の第2楽章が出てくると、
「何とつなぎのスムーズなことか」と。
一般的には第1楽章と第2楽章、そして第2楽章と第3楽章とは
それぞれ対比が際立った曲だと思っていた第九が、
何と第3楽章までも含めて、弾んでる、弾んでる。
でも、冷静には気の迷いかとも思ったですが、
第4楽章冒頭でそれまでの楽章を回顧するところではやっぱり弾んでる。
カンブルランは確信犯であったわけですね。
だからといってベートーヴェンを冒涜しているとか、
そういうようなとんがり方ではありませんでしたので、
革新的な曲解釈てなふうには言えないであろうものの、
どうも演奏的には金太郎飴の切り口のように思えていたのが
見事に違う顔が見えて、こりゃあ面白いと。
最初の方で第九を聴くことにずいぶんと後ろ向き発言をしましたけれど、
カンブルランのは来年と言わず、も一度聴きたいなとは、
すっかり思う壺にハマったということでありましょうかね。
