企画展、特別展というとついつい美術館、博物館を思い浮かべてしまいますけれど、
図書館のものもなかなかに興味深いところでありまして、
しばらく前に見た都立中央図書館の「船と冒険 」なる企画展示でもって
改めて思ったところであるわけです。
でもって、ふと「こんなのやってる!」と気付いて出かけた国会図書館の企画展示。
「日本と西洋 イメージの交差」というものですけれど、
これがまあ大層面白いものでありましたよ。
もちろん(?)入場無料でリーフレットまでもらえるあたり、
先日訪ねた国文学研究資料館 と同様に国民への還元でありましょうかね。
展示の内容を簡単に言ってしまいますと、日本に西洋人が渡来するようになった戦国期以降、
江戸、幕末、明治までの間に西洋人から見た日本、日本人はどういうものであったか、
逆に日本人から見た西洋、西洋人はどういうものであったかを文献展示と解説で示したもの。
貴重書と思しきものの現物(当然ガラスケース入りですが)を間近に見られると、
ただの解説でふんふんと思うだけでなく当時の雰囲気が立ち上ってくるようでもありますね。
話の説き起こしととしては、
マルコ・ポーロ の「東方見聞録」によって伝えられた「黄金の国ジパング」というイメージ。
そもそもマルコ・ポーロが日本のことをそのような国だと思い込んでしまう背景として、
旧約聖書の創世記に「エデンは東方にあり」てなふうに記されているところからして
東(日の昇る方角)に対するイメージはかき立てられていたであろうと。
紀元1世紀になると地理学者ポンポニウス=メラが著した書物には
極東の太陽が登るところに金の島、銀の島がある…てな紹介がなされているのだとか。
ポンポニウス=メラが実際に極東を旅して見てきたことでもないしょうに、
旧約聖書の記述を端緒としてイメージは増幅されていったというべきか、
そうしたことがマルコ・ポーロに影響したのでありましょう。
果ては19世紀に至っても画家ゴッホ が日本を「光あふれる国」だと考えて憧れ、
ピエール・ロティの小説「お菊さん」に心酔していたことなどにもつながってくるとは
息の長い固定イメージでありますね。
ですが、実際に日本を訪れた西洋人はどう捉え、
それを伝え聞いた側ではどう受け止めたでしょうか。
信長 ・秀吉時代の宣教師オルガンティーノは
「毎日、日本人から教えられている。これほど天賦の才能を持つ国民はいない」と
書き記しているといいます。
とはいえ、離れたところで宣教師から伝えらる情報に接する側では
例えば切腹という蛮習や、ましてやキリスト教に対する迫害などの方が耳目を引くなのでしょう、
まわり回って文学作品にも誇張されて使われたりするケースが出てくるのですね。
1719年ですから8代将軍吉宗の時代、
この年に刊行されたダニエル・デフォーの小説「ロビンソン・クルーソー」には
「日本人は嘘つきで残酷で陰険な国民だ」と書かれているのだとか。
逆に日本側への西洋事情の伝播に関しても、
「オランダ人にはかかとがない」(どうやら靴にヒールが付いているかららしいですが)てな噂があったり
「絵本異国一覧」という本では「イギリスには火食鳥がいる」とか書いてあったりですから、
あんまり余所のことを言えたものではないかもですが。
てなふうなあれこれをまだまだ書き足りないほどに紹介していたこの企画展示。
分けても、「シーボルト事件」の原因となった地図(部分的ながら本物!)が展示されていて
「ほぉ~!」と。
さすがは国会図書館といいますか。
こうした企画は見逃せませんですねえ。
