現代博物館らしい企画ということになりましょうか、
東京都現代美術館で開催中の「特撮博物館」展のことであります。
「昔はよくウルトラマンなんかを見てたものなぁ」てなことで、
なんとなく出かけたのですけれど、いやあ結構入ってましたですねえ。
いわゆる「お好きな人にはたまらない!」という類いなのでしょう。
まず最初は、主に日本のSF映画(怪獣
映画も含む)のポスターやら
映画の中で使われたメカの類いの模型やらが置いてあるコーナー。
いささか古すぎて付いていけなかったり、名前くらいは何とか知ってるかなというものまで含めて、
あれこれありましたけれど、「ほぉ~、そうなんだ?!」みたいに思う場面もちらほらと。
例えばですけれど、巨大な蛾というわりには妙に愛嬌のある顔つきをしているモスラでは
撮影にあたっていくつも作られた着ぐるみで最大のものは約10mもあったそうな。
9人がかりで動かしたとは大変な作業だったろうと思いますが、
むしろ巨大な芋虫をひと皮むけば、9人がもぞもぞ動いていると想像すると、ついつい笑いが…。
また、1963年制作?公開の?の映画「海底軍艦」の轟天号ですが、
「旧海軍の決戦兵器として計画された」との筋書きになっていたようで、
戦後18年くらいのところで「旧軍」のことを持ち出してよかったのかと思う一方、
先頭部分に巨大なドリルが付いた姿かたちは、まるでTV人形劇(?)「サンダーバード」の
ジェットモグラと同仕様。
いったいどちらが先なのだろう?と思いましたので後から調べてみましたら、
「サンダーバード」は1965年に始まったそうですから、1963年の「海底軍艦」の方が早い。
すでにそのころから、やがてアニメが一大産業化する日本の先進性?はあったというべきですかね。
も一つ映画「妖星ゴラス」(1962年)用に描かれたVTOL機のデザインを見て「うむむ」と。
ちなみにVTOL機は垂直離着陸が可能な飛行機で、
シュワルツェネッガー
の映画「トゥルー・ライズ」に出てきたハリアーなどのこと。
で、「うむむ」の背景はと言えば「これ、ウルトラマンに出てきたような…」と。
続くコーナーがウルトラマン関連を集めた一角で
(バルタン星人が出てくるときの、鈴鳴りのような効果音がBGMだったような)
先ほどの「うむむ」はすぐに解決したのですが、
やはり先ほどのデザインは「ジェットビートル」に流用されたのだそうですよ。
ところでまた映画コーナーの話に戻ってしまいますけれど、
映画の中で使われた新聞、劇中新聞なるものが展示されておりまして、
これはこれで面白いものだなあと思いましたですね。
例えば、昭和39年8月16日付の毎朝新聞の一面トップはこんな具合です。
全地球SOS!!被害八十三ヶ国に達す
何の映画だったかはメモってくるのを忘れてしまいましたが、
この手の映画にありがちなスケールの大きさです。
でもって、日本映画ですから当然に主戦場は日本になるわけで、
これがハリウッド映画だったらアメリカが主戦場でありましょうね。
卵の正体つかめず 謎に挑む京南大 三浦博士
こちらは昭和39年9月5日付日東時事なる劇中新聞の一面。
たぶん「モスラ」の中で使われたと思いますが、
先ほどの「全地球SOS」といい、昭和39年は大変な年だったようですねえ。
フランケンシュタインか 三浦半島の恐怖
各地に目撃者続出!! スチュワート博士は否定
昭和41年の5月16日付時事新聞の一面大見出し。
たぶん映画「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」と思われます。
前に小説の「フランケンシュタイン
」を読んで
怪物としてのイメージがひとり歩きしてることに触れましたが、
そういえば日本にはこんな際物があったのでありましたよ。
ところで、その後はこうした映画・TV番組を彩った特撮の技が披露されていきます。
特撮とまではいえませんが、ウルトラマンのカラータイマー。
これが青から赤に変わるとドキドキハラハラしたものですが、
このカラータイマーの中に青いセロファンと赤いセロファンを入れ替えながら撮影したと知っては、
苦笑を禁じ得ない…。
溶岩が流れるシーンでは本当の溶鉄を使って撮影するという危険なこともやっていたようですし、
飛行機を飛ばすシーンでは上から吊っているピアノ線が見えないようにと
背景も飛行機もさかさま状態の設営で撮影をしたり。
(こうすると、上下反転させて放送するときにピアノ線は飛行機の下側になるので
あまり気にならないのだとか)
三谷幸喜さんの「ラヂオの時間」に出てくる手作り効果音ではありませんけれど、
とにかく手作りでそれらしくできることをやろうとする工夫、
いかにもモノづくりの日本らしいところなのかなとも思ったりしますねえ。
現在はCGばやりながら、特撮の心意気は残っているようで
昔よりもさらに洗練されたテクニックを駆使して映画を撮るとどうなるか。
これが会場内で上映されていた短編映画「巨神兵、東京に現わる」ということになるのですが…。
映し出される都市はいかにも東京、いかにも渋谷といった
場所が特定できるようなリアルさで臨んだミニチュアセットで、
ここに宮崎駿の映画「風の谷のナウシカ」に出てきた巨神兵が
天空より舞い降りて、あたり一帯を焼き尽くすというお話。
確かに特撮の威力は絶大ではあったと思うのですけれど、
ありのままのようなリアルさを再現できるようになっているとして
現実世界そのままのリアルさを追求して、しかもそれを破壊するリアルさを作り出すことに
どれほどの意味があるのかなと思ってしまいましたですね。とっても後味が悪いなぁと。
かつては作りものらしさが残るが故に本物の場所(例えば東京タワー
)を登場させることで
少しもリアルに見てもらおうというところがあったのかもしれませんが、
今や(映画だから作りものだろうと思いつつも)ほんとの東京?と思えるような背景を作れるとすれば、
むしろ現実の都市を再現するのではない見せ方ってあるんじゃないですかねえ。
取り分け大きな震災などがあって、
人間の作った街なぞは自然の力で一瞬のうちに壊滅してしまうことを目の当たりにした後に、
こうしたリアルさを付きつけられても、「凄いなぁ、特撮は」というのとは違う印象が残るような。
それとも例によって単に考えすぎなだけなんでしょうかね…。

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