ちょっと前ですのでもう会期は終了してますが、ふらり立ち寄った新宿のコニカミノルタ・プラザでは、
開催中の写真展の一つが飛行機雲を写したものだったのですね。


ふつうに雲といえばふわふわしたふうであって、形も一様ではなく、
それであればこそ見上げる者にとっていろいろなモノの形を想像させたりするわけですけれど、
飛行機雲は空高く飛行航跡を定規で引いたように細く長い一直線。
(旋回してると、そうではないのでしょうけれど)


とまれ、その直線具合というのは自然の景観とは違った人工的なものを感じたりするのですが、
それはそれで、ライト兄弟 ではありませんが、そもそも空を飛ぶことのロマンみたいなものを
思わせもするような。(ちょっとユーミン的成分が入っているかも…)


ところで、かの写真展会場には飛行機雲はジェット・エンジンから生まれるもの
というような説明が書かれてありまして、そうなんだぁと。

飛行機雲が何故できるのかを簡単に端折っていいますと、こんな具合かと。


ジェット・エンジンの排気には水気が混じってるそうでして、
これは自動車のマフラーからぽたぽた水が垂れてたりする(今はないんですかね、こんなの)のと
おんなじようなことなのかもですね。


ただ車との決定的な違いは外気温というわけで、
飛行機の飛ぶ高度1万メートルあたりを零下40度なんつう気温だったりするという。
水気が水そのものになってぽたぽたというより氷の粒になりますですね、瞬間冷却で。


さりながら、飛行機の排気による水気だけでは雲にはならないのだそうで、
大気中の湿度が高いとそれらと一緒になって雲ができるのだという。
つまり、もともとも少し水気があったら雲ができるような状態の空を飛行機が飛ぶと
飛行機雲ができるというわけです。


ですから、お天気関係の言い伝え(というほど古くはないのでしょうけれど)に、
飛行機雲ができると雨になる…みたいなことがあるといいますが、
要するに気象状況としては湿度が高いのですから、むべなるかなでありますね。


…とここまで来てなんですが、「まてよ!」と。
飛行機雲がジェット・エンジンから生まれるものだとすると、あれは一体何だったのか?


あれというのは映画「紅の豚」のワン・シーンでありまして、
確かマンマ・ユート団の団長だったかがマルコとカーチスとの空中戦のときに
「すげえ!豚が雲を引いた!!」と言っていたのですよ。


ご存じのとおりマルコの飛行艇はプロペラ機であって、
ジェット・エンジンではありませんから「え?」と思ったのでして、
となれば、「紅の豚」を見てみるということになりましょうねえ。


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確かめてみれば、やはりその通りのセリフがあり、
映像の方でもマルコの飛行艇はその両翼端から雲の糸を引いていたのですね。
これはいったい?!


近くの図書館では飛行機雲に関係するような本は子供向けの科学図鑑みたいものしかなく、
その中での飛行機雲の解説は先に書いたようなジェット・エンジンがらみのことばかり。

うむぅと思っていたところ、灯台もと暗しではありませんが、
Wikipediaにこうした記載がありました。

揚力が生じている飛行機の翼上面では気圧が低くなっている。このとき大気は断熱膨張によって温度が下がっているため大気中の水蒸気が凝縮して水滴となり、飛行機雲として観察される。…大きな揚力が必要な引き起こしや旋回といった高G機動時に生じやすく、…水平飛行時にはふつうこの種の雲は見られない。

揚力が生じて、翼上面の気圧が低くなっている?
翼の上面の気圧が低くなるから揚力が生じるんでないのか…

とまた揚力の話 に陥ると先に進みませんので、
とにかく理屈的にはよく分からないですが、翼回りで雲ができやすい環境が生じているのでしょう、
そして高いG(重力加速度)がかかるような状況では発生しやすいのだということですね。


ここで「紅の豚」の空中戦シーンを思い出してみると、
旋回やら宙返りやらといかにも高Gがかかりそうな感じな場面ですので、
「なるほど!」と思う緊迫感がありますけれど、
果たしてこれはリアルな描写なのかどうか…。


ところで、航空ショーの類いではジェット機が色つきの尾を引いて
時には模様や文字を描いたりすることがありますが、
あれは飛行機雲ではなく、人為的に噴出しているスモークなのだそうで。
そんなことも知らずにおりましたが、このたび晴れて?知るところとなりましたですよ。