何の気なしにDVDで映画「ツーリスト」を見てみたのですけれど、

思いがけずも舞台がヴェネツィア とあって、ヨハン・シュトラウス のオペレッタ「ヴェネツィアの一夜 」の

書き割り背景とは違うヴェネツィアらしい風景を見ることができたのですね。


ツーリスト [DVD]/アンジェリーナ・ジョリー,ジョニー・デップ,ポール・ベタニー


パリ からヴェネツィアに向かう列車で

謎の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー )と乗り合わせたフランク(ジョニー・デップ )。
こちとらウィスコンシンからやってきた一介の数学教師、つまりは単なるツーリストでしかないわけですが、
なにがどうなってるのかエリーズは車内でも、到着したヴェネツィア駅頭でもフランクの気を引くようなふう。


と思っているのはフランクばかりなりで

モーツァルト の裏返しではありませんけれど)「男はみなこうしたもの」なのかも。

お言葉に甘えてたどりついた超高級ホテルの超豪華スイートで、

フランクは夢のようなヴェネツィアの一夜を過ごす…はずでしたが、

ソファに寝かされて起きてみれば銃を突きつける物騒な男たち。当然エリーズの姿は無いという状況。


典型的な「巻き込まれ型」だなと思って見ておりますと、どうもそうではないという。
「巻き込まれ型」というより「巻き込まれて行き型」というべきか。


そして、もそっと深く予想をつけるつもりになればさもありなむと思う「なるほどね」の結末。

まあそうだろうなあという工夫のストーリーでありまして、

この結末を予想できなかったことの言い訳ではありませんけれど、
思い返してみて「ちょっと、待てよ」と思うのですね。


と、ここから先は気を付けて書きますが、

ほぼネタばれになりますのでこれからご覧になる方はご遠慮くださいね。


元々エリーズは黒幕アレクサンダーの指示で列車に乗り込む際に、
なるべくアレクサンダーに似た人物と接触するよう命令されているのですね。
アレクサンダーにすれば、エリーズが接触した人物を捜査当局が自分と間違うよう仕向けるためにです。


ですが、エリーズがフランクを選び出すかどうかは全くわからないながら、
実はフランクを選び出さないとこの話はそれ以上進まない仕立てになっています。

また、フランクがロシアン・マフィアに襲われてホテルからパジャマのまま逃げ出すようなシーン。


巻き込まれたと思しきフランクの右往左往、

しかもパジャマで日の昇ったヴェネツィアの街の屋根の上を逃げ惑うというのは、
かなり冒頭部なだけに、「あ~あ、とんでもないことに巻き込まれてしまって…」と見ている側に思わせる部分。


ところが、不意打ちであったにせよ、フランクにとって修羅場は必ずしも初めてではないでしょうし、
はっきり身の危険を感じたとすれば、おちゃらけてる(パジャマでふらふらはそう見える)場合では

ないわけですね。


つまり、コメディにも見えるような「巻き込まれちゃってかわいそ~」な

パジャマ姿の一介の数学教師の姿を見せるシーンは、作り物以外の何物でもないということになります。


別にリアリティばかりを求めているわけではないですが、

ここのところはこうした逃走劇にしといた方がおもしろいにしても
最後に種明かしをすると「あれはいったい何だったんだ」と思わざるをえないという。


一貫したストーリーへのこだわりよりも、

その場その場の面白さで組み立ててしまったのだなぁと思うわけです。
そこら辺が残念だなぁと。


とまあ、あれこれ言いましたけれど、さらっと見通す分には面白いんですけどね。

ところで、アンジェリーナ・ジョリーですけれど、
元来お顔の造作が大きめの人であるのに加えて、おめめ回りの化粧がばっちり!でしたので、
「ああ、少女マンガの登場人物のような人間って、ほんとにいるんだなぁ…」と思ってしまったのでありました。
もっとも、少女マンガの登場人物の方は口は小さいですけれど・・・。