このところ「文体」がどうのこうのという小説を続けて読んでいたものですから、
もそっと娯楽的要素の強いお話を読んでみるかと思ったのですね。
そこで近くの図書館で物色したところ、「お!懐かしいじゃん」と手に取った一冊。
懐かしいのその本そのものではなくして、タイトルに付けられた人物の名の方。
タイトルはといえば、「ノストラダムス 封印された予言詩」というものであります。
それにしても「ノストラダムスの大予言」なる本が一大ベストセラーになったのは
いつ頃のことでしたですかねえ。出た頃に読みましたですよ。
「1999年の7の月、恐怖の大王が空から降ってくる」とか何とか。
予言が当たってるかどうかよりも、人間の足が生えてる(ように見える?)魚の写真が載っていて、
えらく気味が悪く夢見の悪い思いをしたことを覚えておりますです、はい。
「大予言」はその後映画になったりしましたけれど見るでもなく、
「2」とか「3」とかそれ以上も続刊があったようですけれど読むでもなく、
ほんの束の間の興味であったなぁと。
ですから、考えてみればブームであったという社会現象を懐かしく思ったのかもですね。
ところで、ノストラダムスという人は実在の人物でありますけれど、
どうやら予言詩を1000篇残したはずながら、942篇しか見つかっていない。
この部分までは本当のことのようでして、
では残りの58篇はいったいどうなってしまったのか?
と、このあたりに想像を逞しく膨らませてみたくなるのも無理からぬ話ではなかろうかと。
ただ、最初は「古書の来歴
」のような展開が望めるのかなと思ったんですが、
どちらかと言うと「偽りの書
」寄りで、も少し突っ込んでいうと単なる冒険小説の域を出ないというか。
(映画で喩えるのもなんですが、例えば「ロマンシング・ストーン」とか…)
つまりは主人公がある物を探して歩き、その物を廻ってやっかいなことに巻き込まれ、
いったい「ブツ」は見つかるのか、苦難を免れることはできるのか…ということが主眼であって、
「ブツ」はといえば「珍しいものなら、何でもいっか」的なところがあるかもしれません。
それに結末がおそらくは誰にも消化不良感を残すところであって、
それもそのはず(訳者あとがきによりますと)続編があるのだとか。
こう聞いては「スターウォーズ
/帝国の逆襲」を見終えたときの感覚にも陥るところでありますよ。
とまで言ってしまうと身も蓋もないかもしれませんが、
そうした本筋とは別のところに(と言ってももちろん本筋を大きく絡むように出来てますが)
本書の意味合いはあるのかもしれないですね。
それと言いますのは、ジプシーの生活習俗といったものが、
研究書、解説書の類いでは思い描けない、生き生きしたものとして伝わってくるのですよ。
この点については作者自らが「本書で描かれるジプシーの伝承、言語、風習、名前、習慣、神話は、
すべて正確に記述されている。わたしはただ、物語の便宜上、多くの異なる部族の風習をひとつに
まとめたにすぎない」とも言っておりますから、
(鵜呑みはどうかと思うものの)単なる想像の産物とはいえないのでありましょう。
以前も「ジプシー
」(その呼び方自体がどうなのかということは思うにしても)を少しばかり探究しましたけれど、
その際には分からなかった小集団ともっと大きな広域集団のようなものの関係やら、
必ずしもてんでばらばらに(思いつくままにあてもなく)移動しているのではないことやら、
今さらながらに「そうなんだぁね」というところもあったなとは思うのでありました。

