たぶんモーツァルト を愛してやまないような方々はちゃあんとアンテナを張っておられたのでしょうけれど、
たまたま「おお、こんな催しが密かに行われておったのか」と目にとまったものですから、
立ち寄ってみたという次第。
日比谷の第一生命本社ビルの1階で25日まで開催されていた
「モーツァルトの顔 18世紀の天才をめぐる6つの物語」という展示であります。
いくつかの自筆譜などもありましたけれど、
メインと思しきものはフライヤーに使用されているヨーゼフ・ランゲ描くところの
「クラヴィーアに向かうモーツァルト」の本物が日本で初めて展示されるというもので、
それに連なってモーツァルト本人や家族の肖像画を見比べるところも
お楽しみだったのかなと思うわけです。
まあ、日本初公開!てな部分の話題性はありますけれど、
ランゲという人はモーツァルトの妻コンスタンツェの姉の亭主で舞台役者であって、
画家でもなんでもないんですが、コンスタンツェが「よく似てる」と言ったのだとか。
「クラヴィーアに向かうモーツァルト」といいながら、
フライヤーで隠れてしまってる部分は未完成で、実はクラヴィーアも描かれていないのですよね。
さしずめコンスタンツェが姉の旦那に「よいしょ!」したのかもと思ってしまいますが、
上野の西郷さんの銅像のように、奥方から「こげん人じゃなか」みたいに言われるよりはいいでしょうけど。
とまあ、一番の目玉作品をのっけから腐すのもおとなげないことではありますけれど、
いくつかの肖像画を見ていて、ハタと気付いたことがあるのですね。
まずはこれをご覧ください。
ヨハン・ネポムク・デラ・クローチェによるモーツァルト一家を描いたものであります。
左から姉のナンネル、ヴォルフガング、壁の絵になっちゃってる母アンナ・マリア、
そして右側が父レオポルトですが、ヴォルフガングのところだけちと拡大してみます。
あんまり大きくなってませんが、ご容赦を。
と、ここで母アンナ・マリアの単独肖像画を見てみます。
上の家族肖像画の中ではいささか鷲鼻っぽさがちと強いですが、
下の単独肖像画で見る限り、ヴォルフガングとそっくりですよね。
それではちなみに父親の方はというと、やっぱり家族の中でみるとあいまいですが、
単独肖像画をもってきてみましょう。
さしあたり鼻に注目しますが、息子のヴォルフガングとは全く似てませんですねえ。
まあ、鼻の似てる似てないだけで話を大きくするつもりはないのですけれど、
それにしてもヴォルフガングは母から受け継ぐところ大なるものがあったのではないかと思ってしまうわけです。
音楽的な素質は父レオポルトの賜物やもしれませぬが、人間的気質は母アンナ・マリアからかも。
モーツァルトが結局のところザルツブルク の父の元から飛び出してしまうのは、
父親にしてみれば「俺の息子が、俺の考えがなぜ分からのだ!」てなふうに
多くを語らずとも自分とおんなじ考えが息子にも根ざしているはずと思いこんでしまった…
てなことがあったのかなぁと思ったりしたわけなのですよ。
ウィーン 土産の目ん玉型チョコレートを始めとして
モーツァルトの肖像はよく目にするところではありますけれど、
あれこれ見比べてみて、想像を否妄想をかき立てる展示なのでありました。




