ツェルマットのスキー の話で思い出したのですけれど、
滑ってるときって完全に個人競技なわりには、
何故だかスキーってのはグループで行きますよね。
まあ、一人で行っちゃいけないもんでもないですが、
何故だか孤独な(つまりは寂しい)スキーヤーだったり、
はたまた孤高の(つまりはスキーに求道的な?)スキーヤーという印象を持ってしまうような。
まあ、スキーの時の泊まりがだいたい温泉宿だったりするんで、
アフタースキーの宴会がお楽しみ(もしくはこれこそ主目的)だったりするところもあるからでしょうか。
それだけに(今ではどうかは分かりませんけれど)
かつては冬場になると、職場ではこんな会話が…。
「山田よぉ、スキー行こうぜ!」
「お、いいっすね。メンツは?」
「経理の女の子、誘うからよぉ、お前は同期、当たれや」
そして、先輩の命を受けた山田は同期に声を掛けるわけですね。
「おお、由美ちゃん、えっちゃん!いいとこで会った」
「なんだ、山田君か。気安く呼ばないでくれる」(当時は、セクハラという言葉すらなかった…)
「そんなことはともかく、みんなでスキー、行こうぜ」
「みんなって、誰よ」
「加藤先輩とかさぁ…」
「ま、いっか。でも、えっちゃん、スキーしたことないのよね?」
「大丈夫、大丈夫。加藤先輩、准指(准指導員)持ってっからさあ、教えてくれるって」
…てなことで、だいたいグループにひとり二人は必ず初心者だったり、
初めてという人が含まれるんですな。ただ、ほぼ決まって女子ですが。
これは、ビギナー男子に教えてやろうという男子がいないことと、
エキスパート女子がいた場合ビギナー男子はそもそも参加しないからかもですが。
(男子はかっこつけたがりますから)
ゲレンデにたどりついたばかりの頃は、加藤先輩、山田君はじめ、
初めてスキーを履いてヨチヨチ歩くえっちゃんを暖かくも「愛らしいもの」を見るような目つきで見て、
でっちりボーゲンなどを伝授するわけです。
が、二日目ともなれば、どうしたって「ゴンドラ乗って、上、行こうぜ」となる。
顔面蒼白のえっちゃんに対して「大丈夫、大丈夫!」と安請け合いする加藤、山田。
ゴンドラはどんどんと高度を増し、素晴らしい見晴らしが開けたものの、
見下ろせば広がる急斜面ですな。
降りたばかりの緩斜面を一枚降りると一気に切れ落ちて、
誰もが一度は滑り込む前に立ち止まるポイントとなります。
ゴンドラの下車駅はもはや上の方にあり、進退窮まったえっちゃんは半泣き状態。
顔を見合わせる加藤と山田。さすがに、こりゃまずいと…。
スキーをはずしたえっちゃんを加藤先輩がおぶって、
スキー、ストックの一抱えを山田が持ち、一気に急斜面を滑り降りる…。
スキーというと、必ずこうした場面があるような気がするのですね。
(一部分、蔵王に行ったときの実話でありますが、えっちゃんのモデル、よもや読んでなかろうな…)
長々他愛もないことで引っ張ってしまいましたが、
要するにスキーは個人競技、個人種目なのでして、滑ってるときは、
自分のレベル、自分でペースでやりたいのに決まってると思うのですね。
それでも、グループで行きたがるのが改めて「どうしてなんだろうねえ」と思ったりしたものですから。
「その後、えっちゃん、加藤先輩と二人でスキー行ってるってじゃんかよ」
とでもなれば、結果かもですが別の思惑ということになるんでありましょうか…。
とまれ、「私をスキーに連れてって」なんつう映画を思い出したりしますねえ。
個人的には全く無縁の雰囲気を湛えた映画でありましたけれど。