このところ鉄道 ものとハイドン に触れたものですから、

ちょっとばかり気になっていながら、すっかり忘れていた一冊の本を思い出したのですね。

題して、「ヨーロッパ各停列車で行くハイドンの旅」というものです。


ヨーロッパ各停列車で行くハイドンの旅 (幻冬舎ルネッサンス新書 こ 2-1)/児井 正臣


著者は、つねづね定年後にはヨーロッパの鉄道旅行をやってみたいと思っていたそうなのですね。

でもって、いざ定年を迎えて「やろう!」と思い立ったときにテーマをもたせたいと考えたのだとか。


もともとアマ・オケでオーボエを吹いていた音楽好きでもあることから、

最初はモーツァルト の足跡をたどろうかと考えたようです。


ところがモーツァルトですと、あまりにあちこち旅をしていますし、

一方でそうしたモーツァルトの足跡をたどる旅を扱った本もあるということで、

生涯にたった2度だけウィーン ロンドン を往復したハイドンに目をつけたというのが発端らしい。


ということで、ハイドンが旅した頃には特急列車があるでもなく、

「それで各停なんだぁねぇ」と思いかけたところが、まだまだ鉄道自体が無い時代ではないかと。

ですから、ハイドンの旅をテーマにした、いわゆる「乗り鉄」エッセイてなことでしょうかねえ。


それだけにハイドン自身は、おそらくは最短のルートをたどったのではないかと想像するのですが、

どうも著者が「寄り道したいなぁ」と思われたところは、

ハイドンが寄ったかどうかに関わりなく行っちゃったりするわけでして、

4年間、延べ4回に分けてウィーンからロンドンまでをじわじわ進むのですね。


旅のポイントとしては、ハイドンの生涯をもなぞる形でアイゼンシュタットにも足を運び、

途中影響を受けたと思われるマンハイム楽派のおひざ元に立ち寄ったり、

また(本当はロンドンからの帰路らしいのですが)ボンでベートーヴェン に会ったということでボンにも寄る。


ではありますが、その経路である鉄道の旅という点では、およそハイドンとも音楽とも関わりない。

そうであっても、「楽しかろうなぁ」と思ったりはしてしまいますが…。


何しろ、去年はウィーンで「ハイドン・ハウス 」に行きましたし、

ロンドンでは、ハイドンの曲が演奏されたハノーヴァー・スクエア(会場の建物はもう無い)の近くの

ヘンデル・ハウス 」にも行きましたし、また文中でアントワープの大駅舎が工事中と見れば、

「あらら、アントワープ に行ったの、この人と同じ年だぁね」と気付いたり。


興味のニアミスみたいのがあったものですから、

ついつい「似たような旅をやったろかいね」と思ってしまうところなのですね。

ただ、読み終えたところを率直に言ってしまいますと、

要するに専門家でも何でもない一般の方が書いた紀行文が本になっているという。


公共交通に関する見識(これも欧州と日本を比べると思い至ることとは思いますが)には

交通行政に係わる方々に耳を傾けてもらいたいものだという一面もあるものの、

タイトルに釣られた読み手は、深みが足りないのではと思ったりすることでありましょう。


さらに身の程知らず的発言を恐れずするならば、

このくらいの本でいいのなら誰か自分の文章も本にしてくれんかなと思ったりして…。

そしたら、ブログの記事そのままと言わず、もっとあれこれ盛り込めるのに(笑)。