お話の部分として取り上げられているホームレスのこと、そして軍需産業のこと、
いずれも重たい話なわけですけれど、コメディの要素に取り込まれていますから、
「大人のお伽噺」といった言い方をしても許してもらえるのではないでしょうか。
フランスの映画「ミックマック」のお話です。
フランス軍人として西サハラで地雷除去に携わり、作業中に事故死してしまった父親を持ったバジル。
父を亡き者にしてしまった地雷を製造した兵器製造会社の名前が深く心に刻まれることになります。
30年の時を経て、いい大人になったバジルはレンタル・ビデオ店の店員となっていましたが、
店の外で起こった銃撃戦の流れ弾を額に受け、頭の中にとどまった銃弾を取り除くには手術が危険すぎ、
かといってそのままではいつ死が訪れるともわからない状態で、これまた銃弾の製造会社を
記憶にとどめるところとなるのですね。
入院中に職を失い、家財も失われて、バジルはいわゆるホームレスになってしまうのですが、
ゴミに出されたあれこれを使って城を築いたご同類の一群に家族として迎えられることになります。
このあたり、相当に悲壮感が漂っても不思議はないのに、
この城たるや子供の秘密基地の感を呈していますし、そこの集う面々も何がしかの一芸に秀でた、
奇妙ながら情に厚い人たちなわけです。
廃品回収(実はゴミ拾いですが)の帰りに、
たまたま宿敵たる二つの兵器製造会社に出くわしたバジルは俄然二社の社長への復讐を開始、
事情を知ったご同類たちが持てる一芸を十二分に発揮してお手伝いとなります。
でもって、結末は…。
というお話なのですが、巨大な兵器会社を相手取って、ホームレスの軍団が戦いを挑むわけですから、
常識的には(?)そんな馬鹿な!と思うところではありますけれど、
今のご時勢、だいたいのものはゴミに出されていて、それを活用すれば、
彼らなりのミッション・インポッシブルが展開てきることになるのですね。
何かしらの行動を起こそうというときには、当たり前のこととして、
それが太刀打ちできるものなのか、つまりは開始するプロジェクトに完遂する可能性を考えて、
あまりに大それた計画は最初から手をつけないということがあろうかと思います。
そういった太刀打ち云々を度外視して、作戦を展開するあたり、
「大人のお伽噺」と言ってしまう由縁なのですね。
繰り返しになりますが、このお話自体は「んな馬鹿な!」というものではありますけれど、
それを(映画だからこそと思ってもいいですが)ありえないことと投げてしまわない、
そこの部分には世知辛い世の中を思い知っている大人にとっての、
ロマンであり、ファンタジーであり、お伽噺なわけです。
とまあ、ちと理屈を言ってしまってますが、
そのあたりを抜きにして、肩のこらぬコメディとして見ることも可能ですし、
(もちろんロサンゼルスほどではないにせよ)パリにも怖いところはあるんだね…
と気づかされつつも、楽しんでみることができる点で、
秀逸な映画と言っていいかもしれません。
さすが「パリ空港の人々」(トム・ハンクス
主演でハリウッド・リメイクされました)を生んだ
フランスもやるもんだわいと思うのでありました。
