見かけによらず(といっても、ブログでは見かけは分からないでしょうけれど)ミュージカルは好物でして、

美術館巡りの旅とは別にブロードウェイにはいつでも行きたい口なのですけれど、
そんなに詳しいわけではないのは他の全てに当てはまることでして・・・。


だもんですから、ミュージカル「NINE」は見たことがなく、

映画になったということで見てきたわけですが、

これがまあ、なんともゴージャスな映画ではありませんか!


映画「NINE」


キャスティングだけ見ても、

主役の映画監督グイド・コンティーニを演じるダニエル・デイ=ルイスを取り囲む女優陣に

マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ニコール・キッドマン、ジュディ・デンチ、
そしてあのソフィア・ローレン!贅沢ですよねえ。


これらの女優陣にそれぞれ個性を発揮できる役どころを宛がって、

さらに挟み込まれる煌びやかなダンス・シーン。
「ゴージャス」という言葉は、こういうののためにあるんだなと思うところでありますけれど、
全体的に見ると、こんなにも大袈裟である分、反って空しさが募るというか何と言いましょうか。


元々はフェデリコ・フェリーニの映画「8 1/2」をミュージカル化した舞台版「NINE」があって、
それをさらに映画化したという、変わった出自の映画ということになりますが、
(少数意見かもしれないことを恐れずに言えば)「成功してない…」と思ってしまうわけですね。


初期作のヒットによって伝説的人物ともなった主人公の映画監督が新作に掛かろうとするものの、
脚本の筆はいっかな進まないどころか、一行も書けていない状況。
そんな苦しみのさなかにあって、

取り巻く女性たちが助けになるような、ならないような両面の関わりをもって現れては消えていくという。


この賑やかな女性関係は、9歳(NINEたるキーワードのひとつの謂れですが)の時に関わった、
周囲からは魔女扱いされる女性との出会いにあるという「ヰタ・セクスアリス」的背景に起因しているんですね。

一方で、ママ(ソフィア・ローレン)とのマザコン的関係が偲ばれるところでもありますけれど、
あまりこれは深入りしていかない。


とまれ、見ていて思うのは、この人物関係をドラマとしても少し突っ込んだ作りにしてもらえれば、
それこそいいドラマになったのではなかろうかと思うわけでして、
こう考えてくると、ミュージカルというわりには芝居部分の多い中に、

挿入される歌と踊りのシーンはそれ自体いかに豪華なものであったにせよ、

こういっては何ですが余計なんじゃないのと思ったり。


反対に、ミュージカルなんだということを前提に見ようとすると、

現在と過去の交錯という映画ならでは手法がたくさん使われて独自性を出してはいるものの、

基本的に舞台で見た方が効果的と思える域を出ていないわけです。

結局、帯に短し襷に流し…の感を拭いきれずに、一見ゴージャスな分、空しさが募ってくるのですね。


久しぶりに映画の話で早速に腐してる感がありますけれど、
この話をそれだけに終わらせないためにも、

舞台版「NINE」とフェリーニの映画オリジナルは見ておかなくては!と思うのでありました。