この間、東京交響楽団の定期演奏会でオルフの「カルミナ・ブラーナ」を聴いたとき、

パンフレットの解説に少年合唱との文字が見えたのですね。
確かに子供の歌声が入っているわけで、

目の前のステージ上方、オルガンのあるバルコニーには少年少女合唱隊が並んでいました。


「本来はこれが少年合唱だったのかもねえ、例えばウィーン少年合唱団のような」と思ったわけです。

そうしたところへ、ウィーン少年合唱団が志願者激減で人材難に陥りそうだ

というニュースが聞こえてきました。


1498年の創設、ハイドン やシューベルトも団員だったという伝統の歌声だけに、
相も変らぬ人気を誇っているのだろうなぐらいに考えていたものですから、
東京と比べて伝統を大事にすると前に書いたウィーン とはいえ、
時流に合わなくなってくる部分があるということでしょうかね。


入団した子供たち(もちろん少年のみ)は、

寮生活のもと、併設の学校で学びながら音楽のレッスンも受け、
また海外も含む公演に多忙な日々を送ることになるんだそうですね。
公演のギャラが無い分、授業料や寮費といった負担が月々1万円くらいだといいます。


ボーイソプラノですから、変声期を迎えると即退団しなければならず、

併設学校というのも中学くらいのところまでしかカバーしていないので、

その後は多くが「普通の人」として生活しなければならない。
このあたりの将来性の無さが嫌われるひとつの原因らしいのですよ。


おそらく昔であれば、将来性が無いどころか、

ウィーン少年合唱団に在籍していたというだけで敬意のこもったまなざしで見られ、

仕事の心配なんてのも全くいらないような時代もあったのではないかと想像します。


ところがご時勢でしょうか、きれいだった声が変わってしまえば、
「他にとりえはねえのかよ」と言われるかはわかりませんが、

この世知辛さを跳ね返すために、より上級の学校を併設し、

変声期でウィーン少年合唱団自体は退団しても音楽奨学生のような形で、
ウィーン音楽大学との連携のもと、楽器演奏の授業なんかも設けるよう改革するのだとか。
そうなったらなったで、一気に人気回復かも?しれませんねえ。


ところで、同じようにウィーンの伝統が危ぶまれるとして、

先頃やはり新聞で紹介されていましたのが、カフェのことなのですね。


以前、たばこと塩の博物館の企画展 で見たように「やすらぎのオーストリア」と言えば、
カフェとたばこの切っても切れない関係なわけです。


かつて「愛煙家の天国」とも言われたそうですが、

ご他聞にもれず禁煙への風当たりが強くなり、昨年施行された「たばこ法」によって、

ある程度の広さを持つ飲食店では喫煙室(隔離スペースですな)を造らなければいけなくなったとか。


このための改装費用が捻出できずに、

再開の目途が立たない休業に陥る老舗カフェまで出てきたとあっては、
伝統やいずこへ…という感じでもありますね。


しかし、伝統とはいえ、同じ紹介記事の中にあった15歳での喫煙率にはいささかびっくりです。
オーストリアでは男子の24%、女子の30%が15歳で喫煙しているのだそうで、
これはOECD加盟国中、断然トップなのだとか。

ただ、法律では16歳から喫煙が認められている国では、

少々のフライングでしかないのかもしれませんが。


こんな具合に喫煙にゆるいオーストリアですが、成人の喫煙率は日本よりも低いそうですから、
まあそのうちに愛煙家が珍しがられるようになっていくのかなと。


そうなると、喫煙室を作って分煙云々以上に全面禁煙が打ち出され、

喫煙室を作れず困ってしまったカフェも

費用がかからず開業できることにもなる(?)と思ったりもするわけです。
難点は、いつそうなるのかがはっきりしない点でですけれど。


とまあ、観光で訪れる限り は、見たところ「古き良きウィーンが今に」と思ってしまうのですけれど、
やっぱりいろいろあるんですねえ。